
車を公道で安全に走らせるためには、必ず車検に通さなければなりません。しかし、
- 「車検切れの車を運転すると、罰金や罰則はあるのだろうか?」
- 「車検が切れた際の罰則にはどのような種類があるのだろうか?」
そんな疑問や不安をお持ちの方も多いことでしょう。
たしかに、車検が切れた車を運転したときの罰金や罰則について、詳しく知っている人は少ないかもしれません。
そこで当記事では、車検切れで公道を走ったときの罰則や罰則の種類、車検切れの車を車検に出す方法などを解説します。
目次
車検が切れると罰則はあるのか?
車検切れの車はただ所有するだけであれば罰則や罰金の対象にはなりません。
例えば、自宅や自宅外の駐車場などで車を保管しているだけであれば、法的にはなんら問題はありません。
しかし車を廃車にせずそのまま所有し続けていると、自動車税や自動車重量税などの税金は毎年課税されるので支払う義務はあります。
このような車に関する課税をストップしたい場合は各都道府県にある運輸支局で、車の一時抹消登録を行なう必要があります。この一時抹消登録手続きでナンバープレートを返却しなくてはいけませんが、運輸支局で中古新規登録を行なえばナンバープレートは再交付も可能です。
一方、車検切れの車で公道を走行あるいは公道に駐車すると道路運送車両法違反に該当するため罰金・懲役・免停などの処分が科されます。
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車検切れで公道を走ったときの罰則
では車検切れで公道を走ったときに、どのような罰則を受けることになるのでしょうか?
ここでは自賠責保険切れの車で走行した場合も含め、一つずつ解説します。
車検切れの車で走行した場合
車検切れの車で公道を走行してしまうと行政処分として違反点数は6点となり、前歴がない人は30日の免停処分となります。
(※「前歴」とは過去に免許停止処分や免許取り消し処分などの行政処分を受けた違反歴のこと)
さらに刑事処分として6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されますが、駐車場などに保管するだけであれば車検切れでも罰則を受けることはありません。
自賠責保険切れの車で走行した場合
自賠責保険は強制保険であるため、更新していない状態で車を公道で走らせてしまうと罰則を受けることになります。自賠責保険が切れた車で公道を走らせた場合は行政処分として違反点数は6点となり、前歴がない人は30日の免停処分となります。さらに刑事処分として1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
車検切れ・自賠責保険切れの車で走行した場合
車検を受ける際はあわせて自賠責保険への加入も行われますが、車検切れの車は自賠責保険も期限切れになっていることが多く、車検も自賠責保険も切れた状態で公道を走らせてしまうとさらに罪が重くなります。
この場合は行政処分として違反点数が6点で免停処分は90日間となります。さらに刑事処分として懲役期間は1年6か月以下または80万円以下の罰金が科されます。
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罰則の種類
では次に、罰則の種類を具体的に見ていくことにしましょう。ここでは「違反点数」「免許停止・取り消し」「懲役」について具体的に解説します。
違反点数
点数制度は運転者の過去3年間の交通事故・違反に対し一定の点数をつけ、その合計点数が所定の違反基準に達したときに運転免許の停止や取り消し処分を行う制度です。
点数には
- 1.一般違反行為(放置駐車違反・信号無視など)に付けられる基礎点数
- 2.特定違反行為(酒酔い運転・危険運転致死など)に付けられる基礎点数
- 3.交通事故を起こした場合の付加点数
- 4.ひき逃げ事故の場合の付加点数(35点)とあて逃げ事故の場合の付加点数(5点)
の4種類があります。
点数計算は運転者が交通事故や違反を起こすたびに過去3年間の累積点数を集計し、合計点数が所定の処分基準に達した場合にその合計点数に応じた処分が科されます。
免許停止・取り消し
交通違反や交通事故によって違反点数が加算・累積され、合計点数が所定の違反基準に達してしまうと行政処分によって運転免許証の効力が停止します。これをいわゆる「免停」と呼んでいます。
これまでに行政処分を受けたことがない場合は過去3年間の違反点数が累積6点以上14点以下になった場合に免停となります。以下が違反点数の累積と停止期間です。
違反点数 |
停止期間 |
6〜8点 |
30日間 |
9〜11点 |
60日間 |
12〜14点 |
90日間 |
違反点数が14点以下の場合は免許停止処分となりますが、累積15点以上になると免許が取り消しとなってしまいます。
また、過去に免許停止処分や免許取り消し処分などの行政処分を受けた違反歴のある人の場合は以下の違反点数と停止期間になっています。
前歴 |
違反点数 |
停止期間 |
1回 |
4〜5点 |
60日間 |
6〜7点 |
90日間 |
|
8〜9点 |
120日間 |
|
2回 |
2点 |
90日間 |
3点 |
120日間 |
|
4点 |
150日間 |
|
3回 |
2点 |
120日間 |
3点 |
150日間 |
|
4回以上 |
2点 |
150日間 |
3点 |
180日間 |
違反点数の計算は過去3年間の交通違反・事故などによる合計で算出しますが、無事故・無違反の場合は優遇措置が与えられます。
懲役
人身事故や死亡事故を伴わない交通違反事件ではたとえそれが刑事処罰を受ける場合であったとしても、容疑者・犯人は逮捕・勾留によって拘束を受けることなく在宅事件となるケースがほとんどです。
しかし容疑者・犯人が捜査機関から出頭要請を無視している場合や証拠隠滅行為が疑われる場合は逮捕の可能性が高まります。
交通違反では以上のような場合に懲役となってしまいます。
一方、車検切れの車の場合は懲役処分を受けることはあるのでしょうか?
車検切れから長い期間が経過し意図的に車検切れの車で公道を走行して何度も交通違反を起こしていると、悪質な交通違反と判断されて逮捕されることもあります。
車検切れの車を車検に出す方法
ここまで見てきたように車検切れの車を公道で運転してしまうと罰則を受けてしまうため、ついうっかりして車検が切れてしまった場合でも何とかしなければいけません。
では車検切れの車を車検に出す方法はあるのでしょうか?具体的に解説します。
仮ナンバーの取得
車検切れの車を自分で運転して車検実施場所まで移動させる場合は、仮ナンバーの申請が必要になります。
仮ナンバーはナンバープレートに赤い斜線が入ったもので、車検切れの車が一時的に公道を走る際に用いるものです。
各市区町村の役所や運輸支局で申請手続きを受け付けていますが、申請時には「車検証」「有効な自賠責保険証の原本」「本人確認書類」が必要になります。
自賠責保険が切れていると仮ナンバー申請が行なえないので、その場合はまず自賠責保険の加入手続きから行ないましょう。
仮ナンバー申請は問題がなければすぐに完了しますが、走行する際のルートが目的地となる車検実施場所まで最短距離であること、申請ルート以外は走行不可が条件となります。
また貸出期間は3日〜5日で期限切れ後は5日以内での返却が義務づけられています。
引き取り納車を利用する
車検実施場所まで車を運転することが難しい場合は、車検業者の引き取り納車を利用する方法もあります。
業者が車を直接引き取って車検実施場所まで移送してくれるもので、車を移送する手間が省けるため便利です。
ただし車をレッカー車で引いて移送する際に後輪が公道に接地するため、公道を走行していると業者が判断した場合に車検切れの車は断られるケースもあります。
このような場合も考えられるため車検をスムーズに実施するにあたり、あらかじめ業者へ車検切れであることを連絡した上で引き取り納車をしてもらえるのかどうか確認するようにしましょう。
廃車・売却する
今後車を利用する必要がない場合や故障や破損がひどくて売値が付かない場合は、廃車にすることも検討してみましょう。
廃車の際は車を解体場へ持ち込み解体手続きを行ないますが、車検切れの車を自分で運転して持ち込む場合は必ず仮ナンバーの申請手続きを行なってからにしましょう。
解体手続きの完了後は必要書類を揃えてから運輸支局か軽自動車検査協会で永久抹消登録、あるいは解体返納手続きを行なわなければいけません。
手続きを行なう人が誰なのか、また自動車税還付の有無などによって費用や必要書類が異なるため、不明点がある場合は運輸支局か軽自動車検査協会に確認しましょう。
また車検時に多額の費用がかかってしまう場合は売却するといった方法もありますが、買取依頼を行なう際は自賠責保険の更新と自動車税の納付を事前に必ず行うようにしましょう。
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車検が切れる前に車検予約を!
ここまで見てきたように車検が切れて公道を走行してしまうと罰則が科せられ、車検切れ後に車検を受けるとなると様々な手続きもあるため大変です・
車検切れとなる前に早めの車検予約がおすすめですが、車検館なら車検予約も簡単・スピーディーにできます。
予約は各店舗のフリーダイヤルか車検館サイトの申込みフォームから約1分で簡単にできてしまいます。
車検も平均90分で終わるため、ぜひ車検館にお問い合わせください。
まとめ
車検切れの車を所有すること自体は罰則対象にはなりませんが、自動車税や自動車重量税などの税金は毎年課税されるので支払う義務はあります。
また車検切れの車で公道を運転した場合は道路運送車両法違反に該当するため、違反点数は6点となり、前歴がない人は30日の免停処分となります。
さらに刑事処分として6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるため、車検切れ後に仮ナンバーを取得して車検に出すか必要ない場合は廃車・売却を検討してみましょう。