車検整備/部品

2025年8月29日

ファンベルトの交換費用・時期の目安は?”キュルキュル”と聞こえたら要確認

車の走行中にエンジンルームから「キュルキュル」といった音が聞こえたり、ハンドル操作が重く感じたりという場合はファンベルトが劣化・損傷している可能性があります。

この記事では、エンジン周りの補助機関に動力を伝えるファンベルトについて解説します。

交換時期の目安や費用、交換しないことで起こりうる危険についても取り上げているので、車を長く安全に乗れるよう、ファンベルトについて理解しておきましょう。

ファンベルトの役割は?重要性や交換の必要性を解説

ファンベルトとは、エンジンの動力を周辺の補機に伝えるゴム製の輪状ベルトです。

エンジンの回転力を利用して、冷却ファン、エアコンコンプレッサー、パワーステアリングポンプ、オルタネーター(発電機)などを駆動しています。

これらの補機は、エンジンの冷却、バッテリーの充電、エアコンの作動、ハンドル操作の補助など、車の快適性や安全性を保つために重要な役割を果たしています。

  • 電装系:オルタネーターを駆動し、走行中の発電とバッテリー充電を確保
  • 冷却系:ウォーターポンプや(車種により)冷却ファンを回して適正水温を維持
  • 快適装備:エアコンコンプレッサーを駆動し、空調を機能させる
  • 操舵補助:油圧式パワステ車ではポンプを駆動し、操舵力を軽減

ファンベルトが正常に機能しないと、これらの補機が作動せず、様々なトラブルを引き起こす可能性があります。

そのため、ファンベルトは定期的な点検と適切な時期での交換が重要です。

劣化や損傷を見逃すと、走行中にベルトが切れて重大な故障につながることもあるため、日頃から注意を払いましょう。

ファンベルトの重要性

ファンベルトは、1本のベルトで複数の補機を駆動するため、不具合が発生すると同時多発的な機能停止を招きます

そのため、ファンベルトが切れると、発電ができずバッテリーが上がり、エンジンがオーバーヒートしたり、ハンドルが重くなるなど、車が走行不能になる原因となります。

小さなスリップや異音を放置すると、ベルト切れやプーリー・テンショナーの損傷といった二次故障に発展しうるので、定期的な点検と交換が不可欠です。

ファンベルト交換の必要性

ファンベルトはエンジンの動力を様々な補機類に伝える重要な役割を担っており、その正常な動作は車の快適性や安全性を維持するために不可欠です。

ファンベルトが切れたり、適切に機能しなくなると、深刻なトラブルを引き起こし、走行不能になる可能性があります

ファンベルトの劣化や損傷を放置すると、冷却ファン、エアコンコンプレッサー、パワーステアリングポンプ、オルタネーターといった補機類が正常に作動しなくなります。

具体的には、オーバーヒート、エアコンの故障、ハンドル操作の困難化、バッテリー上がりといった問題が発生する可能性があります。

これらのトラブルは、走行中の思わぬ事故につながるだけでなく、高額な修理費用を招く可能性も懸念されます。

また、ファンベルトはゴム製であるため、経年劣化やエンジンの熱、外気温の変化などによって徐々に劣化していきます。

そのため、定期的な点検と適切な時期での交換が非常に重要です。

ファンベルトの交換時期の目安

ファンベルトは主にゴムでできており、使用環境の影響や経年劣化によって傷みます。

傷んだベルトは車の操作性に影響し、トラブルの原因にもなりかねません。

定期的にメンテナンスできるよう、交換時期の目安を解説します。

36ヶ月程度または走行距離60,000kmに達した時

ファンベルト、36ヶ月または走行距離60,000kmが寿命の目安とされていますが、それ未満であっても交換時期を迎えているケースがあります。

ファンベルトはゴムでできているため、エンジンの熱外気温の変化でも劣化が進みます。

使用頻度や環境の違いにより適切な交換時期も変わってくるので、定期的に状態を点検しつつ必要があれば交換するようにしましょう。

ファンベルトに損傷があるとき

車の点検時に、ファンベルトの損傷を見つけたら交換時期です。

目視できる傷やすり減りだけでなく、ゴムの劣化でベルトが伸びていることもあるので、張り具合もチェックしましょう。添付の写真は新品と劣化したファンベルトを比較したものです。

右のファンベルトがすり減って劣化している状態です。実際に見比べる際にご参考下さい。

傷んだベルトでは走行中にベルトが切れ、トラブルを引き起こす恐れもあるため注意しましょう。

引用:https://www.goo-net.com/pit/shop/0120480/blog/61714

ファンベルトの異音(キュルキュル)が聞こえた時

エンジンを動かした際にエンジンルームから「キュルキュル」や「キー」といった異音が聞こえた場合は、ファンベルトが寿命を迎えているかも知れません。

ベルトのゴムが劣化して伸びたり堅くなったりしていると正常に働かなくなり、「ベルト鳴き」とも呼ばれる異音が発生します

ベルトが切れる前兆の可能性もあるので、早めに点検・交換しましょう。

ファンベルトの交換費用相場

ファンベルトの交換にかかる費用は、車の大きさや車種、交換依頼する場所によっても異なりますが、おおむね下表のような内容になります。

費用項目 大型車 普通自動車
(中型車)
軽自動車
ファンベルト代 約6,000円 約4,000円 約3,000円
交換費用 約6,000円 約5,000円 約5,000円
調整料金 約3,500円 約3,000円 約2,500円

新しいベルトの購入代金と交換作業の工賃を合わせて1万円前後、交換だけでなく調整も必要であればプラス3,000円程度が相場となります。

ファンベルトを交換しない6つのリスク

ファンベルトを交換しなかった場合に起こりうる6つのリスクを紹介します。

  • エンジン停止
  • パワステが効かず、ハンドルが重くなる
  • エアコンが作動しない
  • オーバーヒートが起こる
  • オルタネーターが機能せず、バッテリーが上がる
  • ダイナモの停止に伴い、電気系統が停止する

ファンベルトを交換しないまま車に乗り続けるのは危険です。

異音が聞こえたり、点検で異常が見つかったりした場合は早めに対処しましょう。

エンジン停止

劣化したファンベルトが切れるとエンジンがかかりにくくなり、最終的には停止してしまいます

エンジンの始動時にはバッテリーからの電力を必要としますが、ファンベルトが働かなくなるとバッテリーは充電されません。

バッテリーに蓄えた電力が尽きると、エンジン停止につながります。

また多くの車はオーバーヒート防止のため、ファンベルトが切れるとエンジン停止する設計がされています。

いずれにせよ外出先で立ち往生する羽目になれば、ロードサービスを呼ぶしかありません。

このような事態を避けるため、ファンベルトの交換は必要です。

パワステが効かず、ハンドルが重くなる

車体重量のある車が、ハンドルを軽く動かすだけで操作できるのは、パワステ(パワーステアリング)による効果です。

パワステもファンベルトの働きによって動いているため、ベルトが切れるとハンドルが重くなります。

ただし、ファンベルトで動いているパワステは油圧式のものであり、最近はベルトを必要としない電動式のものが増えています。

油圧式のパワステでも、ファンベルトが切れたからといって、ハンドル操作ができなくなるわけではありません。

しかし、走行中にハンドルの重さが変化すると、驚くことになるでしょう。

突然の変化に冷静な判断ができず、危険な運転をしてしまう恐れもあります。

エアコンが作動しない

空気を冷やしたり温めたりするエアコンのコンプレッサーも、ファンベルトからエンジンの動力が伝わることで動いています。

ファンベルトに異常があれば、コンプレッサーが働かず、エアコンが作動しません。

冷房・暖房が効かなくなり、夏場や冬場は不便な状態で走行することになるでしょう。

オーバーヒートが起こる

ファンベルトはエンジンのオーバーヒートを防ぐ、ウォーターポンプにも作用しています。

ファンベルトが切れるとウォーターポンプが動かず、冷却水が循環しなくなるので、エンジンがオーバーヒートを起こします

熱によってほかの部品を損傷させる原因にもなり、高額な修理費用が発生する原因にもなるでしょう。

なお、現在はオーバーヒートを防ぐため、ベルトが切れるとエンジン停止するように設計されている車がほとんどです。

ベルトが切れたからといって、すぐにオーバーヒートするわけではありませんが、正常な走行が続けられません。

トラブルとならないよう、事前に点検・交換したほうがよいでしょう。

オルタネーターが機能せず、バッテリーが上がる

車の走行によって発電することでバッテリーを充電させているオルタネーターも、ファンベルトが切れると機能しません。

充電されないままエンジンの始動を繰り返せば、やがてバッテリーが尽きてしまいバッテリー上がりを引き起こすでしょう。

1度でもバッテリー上がりになると、バッテリーは傷み、本来の性能が失われます。

すぐに充電が切れるような状態になれば、バッテリー交換が必要となり出費が増えてしまうでしょう。

ダイナモの停止に伴い、電気系統が停止する

車の走行に直接影響しない車内設備のなかには、ダイナモまたはオルタネーターによって発電された電力を直接供給して動いているものもあります。

車に搭載された発電機はエンジンの動力によって発電していますが、ファンベルトが働かないと動力が伝わりません。

発電できなければ、照明やカーナビなどへの電力が供給されず、電気系統が停止します。

走行への影響がないとはいえ、車内環境の快適性が低下するのは避けられないでしょう。

ファンベルトを交換できる4つの場所

ファンベルトの交換はカーディーラーや自動車整備工場のほか、カーショップやガソリンスタンドでも対応してくれるところがあります。

ただし車種によっては専用部品でなければ交換できないこともあり、ディーラーしか扱えないケースもあるので注意が必要です。

また、交換に不備があると、車のトラブルにもなりかねません。

お店に依頼する場合は、専門知識を持った整備士が対応してくれる場所を選んだほうが安心です。

ディーラー

ディーラーでの交換は、メーカー・車種に合わせた整備手順を守って実施されるので、安全で確実です。

ただし、交換部品は純正品使用となるため、費用が割高になる傾向があります。

部品を持ち込んで交換作業だけ依頼できれば、多少費用を抑えられるでしょう。

しかし、そういった対応は受け付けていないケースもあるので、事前確認が必須です。

整備工場

自動車整備工場での交換も整備士が作業にあたるため、交換技術は高いです。

交換部品は工場が取り扱っているもののなかから選び、純正品より費用が抑えられるケースもあるでしょう。

ただし、メーカー・車種によっては交換できる部品を扱っておらず、整備工場では対応できないこともあります。

また、土日祝日は営業していないことも多く、休日に利用したい人にとっては不便なポイントです。

カーショップ

オートバックスやイエローハット、コバックなどのカーショップでもファンベルトの交換に対応している場合があります。

パーツが安く買える可能性もあり、費用を抑えたい人にはおすすめといえるでしょう。

休日も営業しており、利用しやすいのもありがたい部分です。

ただし、ショップに整備士がいないカーショップでは、提携する整備工場に交換作業を依頼しているケースもあります。

そのような場合は、工賃が割高になったり、作業に時間を取られたりする場合もあるでしょう。

車種によっては対応できず、断られる場合もあります。

ガソリンスタンド

ガソリンスタンドでも、ファンベルトの交換作業を依頼できるところがあります。

近くのガソリンスタンドで対応してもらえれば利用しやすく、給油ついでに点検・交換をお願いできるので便利です。

しかし、整備士がいない場合は対応していないこともあったり、対応していても品質に疑問があったりと、確実性に欠ける部分があります。

ファンベルトの交換が正しくされていないとトラブルに繋がるため、きちんと対応してもらえるか見極めたうえで利用しましょう。

自分で交換も可能

ファンベルトの交換は部品と工具をそろえれば自分でも可能ですが、エンジン周辺の込み入った部分に取り付けられているため簡単ではありません。

交換に不備があると、重大なトラブルにつながる恐れもあります。

十分な整備知識がなく交換作業に自信がなければ、業者に依頼したほうが安全です。

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まとめ

ファンベルトはエンジン周辺の機関に動力を伝え、走行や車内環境の快適性を維持するために重要なパーツです。

ほかの部品と同様に経年劣化し、使用状況や環境によっても寿命は変化します。

もし、ファンベルトが傷んだ状態で乗り続けると、エンジンの停止やオーバーヒート、バッテリー上がりなどを引き起こします。

ほかにもパワステやエアコンの動きにも影響し、快適な走行が維持できません。

定期的に点検し、異常があればディーラーや整備工場、カーショップ、ガソリンスタンドなどに依頼して、ファンベルトを交換しましょう。

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