普通自動車の名義変更をする場合、車検が有効期限内であることが必須です。もし、車検切れになってから名義変更したい場合、どうすれば良いのでしょうか。
今回は車検切れになった車を名義変更する方法を取り上げています。名義変更に必要な書類や、車検を受けずに名義変更できる「移転抹消登録」も解説しているので、参考にしてください。
目次
車検切れだと名義変更できない
普通自動車は通常、車検切れの状態であると名義変更ができません。これは道路運送車両法という法令によって定められている事柄です。
道路運送車両法第13条では、車の所有者が変わった場合、15日以内に移転登録(名義変更)の申請をし、国土交通大臣はこれを受理して移転登録する旨の記載があります。
ただし条文の中には「当該自動車に係る自動車検査証が有効なものでない場合を除き、移転登録をしなければならない」とされています。この「自動車検査証が有効でない」には車検切れも含まれるため、車検切れの車は名義変更できません。
車検切れの車を名義変更するには、まず車検証を有効にするため、車検を受ける必要があります。そのうえで、名義変更の手続きを取りましょう。
軽自動車は車検切れでも名義変更可能
軽自動車は普通自動車と違って、車検切れでも名義変更が可能です。
ただし、あくまでも名義変更の手続きができるだけであり、車検切れの状態では公道を走れません。名義変更した新しい所有者が、その軽自動車を使うには車検を受ける必要があります。
軽自動車の名義変更は、軽自動車検査協会での手続きとなります。自動車検査証(車検証)の原本や、新しい所有者の住民票、前後のナンバープレートなどを用意して軽自動車検査協会に行きましょう。
名義変更は15日以内に行う
道路運送車両法では、自動車の所有者が変わったなら15日以内に申請して、車の名義変更をするようにとされており、この手続きは新しい所有者が行います。
なお、名義が変わったにもかかわらず申請しなかった場合、50万円以下の罰金が科せられます。また、自動車税は毎年4月1日時点での所有者が納付義務を負うため、名義変更を忘れていると、本来の所有者のところに納税通知書が届きません。
罰則やトラブルを避けるため、車の所有者が変わったなら、名義変更を速やかに行いましょう。
車検切れの車を名義変更する流れ
車検切れの車を名義変更する場合、所轄の運輸支局に行って手続きします。名義変更には車検証が有効であることが条件となるため、まずは運輸支局にて車検を受けたのち名義変更という流れになります。
この手続きは、車の所有者個人が行うほか、業者への代行依頼も可能です。
個人で手続きを完了させるには、車検や名義変更に必要な書類をそろえ、平日昼間に運輸支局へ出向く必要があります。平日仕事をしている人の場合、休みを取って対応となるため、手間がかかるでしょう。しかし、手続きに余計な費用がかかりません。
代行業者に依頼すると、手続きの手間を省けますが、代行手数料がかかります。なお、車庫証明などの書類取得を自分で行えば、費用を抑えられる場合があるので、利用する場合は代行手数料の内訳も確認しておきましょう。
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名義変更に必要な書類
車の名義を新しい所有者が変更する場合、次の書類が必要です。
- 申請書「第1号様式」(軽自動車は軽第1号様式)
- 手数料納付書
- 自動車検査証(車検証)
- 旧所有者の実印を押した譲渡証明書
- 新・旧所有者の印鑑登録証明書(3か月以内に発行したもの)
- 新所有者の車庫証明書(1か月以内に発行したもの)
- 実印を押した委任状(代理人による手続きの場合)
申請書や手数料納付書は運輸支局で用意されているので、手続き当日に用意できます。申請書はインターネットから書式のダウンロードもできるので、事前に記入しておくことも可能です。
名義変更に必要な書類にはすべて実印を押すため、印鑑登録証明書も必要となるので、事前に準備しておきましょう。
変更手続きを所有者自身が行うのではなく、第三者や車を購入した店舗に依頼する場合は委任状も必要です。
なお、車の所有者と使用者が異なる場合は、名義変更に必要な書類が若干変化します。
例えば、カーローンで車を購入すると、所有者がローンを組んだ金融機関になっている場合があります。ほかにも、家族が所有している車の使用者になっている場合も、所有者と使用者が異なるケースです。
このような場合は、次の書類を用意します。
- 申請書「第1号様式」(軽自動車は軽第1号様式)
- 手数料納付書
- 動車検査証(車検証)
- 旧所有者の実印を押した譲渡証明書
- 新・旧所有者の印鑑登録証明書(3か月以内に発行したもの)
- 新使用者の車庫証明書(1か月以内に発行したもの)
- 実委員を押した委任状(代理人による手続きの場合)
- 新使用者の住所を証する書面
所有者と使用者が同一な場合との違いは、新しい使用者の住所を証明する書類が必要となる点です。
車検切れの車を車検に通すためには
車検切れの車を車検に通すには、何らかの方法で車を動かし、車検場まで運ぶ必要があります。この場合、次のどちらかの方法が考えられます。
- 仮ナンバーを取得
- 引き取り納車してくれる車検業者に依頼
車検切れの車でも仮ナンバーを発行すれば一時的に公道を走れるので、自分で運転して車検を受けに行けます。手続きの手間や走行できる道が制限されますが、余計な費用がかからない方法です。
車検業者の中には引き取り納車に対応しており、車検の切れた車を運んで点検整備と車検を実施してくれるところもあります。ただし、対応できる業者は限られ、余計な費用がかかる点は注意しましょう。
車検を受けずに名義変更も可能
移転抹消登録すれば、普通自動車でも車検を受けずに名義変更が可能です。この手続きでは、名義を変更したうえで車を一時抹消登録します。手数料を払って窓口で手続きを済ませるだけで完了となり、車検切れの車を運んで車検を受ける必要がありません。
ただし、この方法を選択すると、車の名義変更はできても、車は抹消登録された状態です。新しい所有者はそのままでは車を使えません。再度、車を利用するには、車検を受けてから中古車登録する必要があります。
移転抹消登録は、中古車買取業者に車の名義が移るときにも使われる方法です。
まとめ
普通自動車は通常、車検が切れた状態での名義変更ができません。運輸支局にて車検を受けてから、名義変更となります。
なお、軽自動車は車検切れでも名義変更可能です。ただし、公道を走るなら車検が有効でなければ法令違反となります。
また、車検切れの車を名義変更するだけなら、移転抹消登録という方法があります。これは名義変更したうえで車を一時抹消登録するため、その車は公道を走れません。新しい所有者が車を使うなら、車検を受けてから中古車登録が必要です。