
車を所有していると、自動車税と自動車重量税の負担が発生します。もし、車検切れになった場合、これらの税金はどうなるのでしょうか。
実は、車検切れの車も自動車税が課税されます。ただし、地域によっては課税保留制度が適用され、一時保留となるケースもあるようです。
この記事では車検切れの車に課税される税金や課税保留制度、車検切れの車を課税されずに済む方法について解説しています。車検切れになった際の税制度を、正しく理解しておきましょう。
目次
車検切れの車は課税されるのか
車検切れの車であっても、自動車税は課税対象です。抹消登録しない限り、毎年支払いの義務が発生します。
しかし、自動車重量税は車検が切れると課税されません。まずはこの2つの税金の違いを解説します。
自動車税は課税対象になる
自動車税は車の状態や使用実態に関わらず、排気量に応じた金額が4月1日時点の所有者に課税される地方税です。そのため、車検切れになっていてもナンバー付与された登録車両なら、課税対象となります。
もう乗らない予定の車検切れ車両を保有している場合、抹消登録しない限り課税され続けるので注意しましょう。
今は使わないけれど、いずれまた運転したいなら、一時抹消登録によって課税対象から外せます。
自動車重量税は課税対象にならない
自動車重量税は車検を受けるときに、車の重量に応じて課せられます。通常、次回車検時期までの期間分をまとめて納付するため、車検を受ける機会がないと支払いが発生しません。
つまり、車検切れの車は自動車重量税が不要となるため、課税対象にならないといえるでしょう。
課税保留制度とは
車検切れの車でも登録車両なら自動車税の課税対象ですが、地域によって「課税保留制度」を適用するケースがあります。
これは車検切れなどの車を「使用されていない」と市町村が判断し、一時的に課税を保留してくれる制度です。課税保留されると、自動車税の納税通知書が届かなくなったり、お知らせ状が届いたりします。
ただし、これは一時的に保留されているだけであり、自動車税の減額や免除する制度ではありません。また、市町村ごとに制度の有無や適応される条件・期間など、対応が異なります。
課税保留制度には「定期保留」「譲渡先不明保留」「盗難保留」があります。
「定期保留」は、車検切れになっている車が使用されていないとみなし、市町村が課税を保留してくれる制度です。もしも定期保留となった車の車検を更新するなら、保留されている自動車保険を納める必要があります。
「譲渡先不明保留」は、車を譲渡した際の移転登録がされておらず、所有者が不明な場合に課税を保留します。「盗難保留」は、盗難や詐欺などの犯罪に巻き込まれ、所在不明となった車への課税を保留する制度です。
車検切れの車の自動車税を止めるには
車検切れの車に自動車税がかからないようにするには、抹消登録をしましょう。
抹消登録には、一時抹消登録と永久抹消登録が存在します。どちらも運輸支局での手続きとなりますが、必要書類が一部異なります。
一時抹消登録
ナンバープレートを返却して、一時的に登録を抹消するのが「一時抹消登録」です。一時抹消登録した車は公道を走れなくなりますが、自動車税が課税されません。車検を受けたり自賠責保険料を払ったりも不要となり、あらためて登録すれば再び公道を走れます。
一時抹消登録の手続きをするときは、以下の書類を準備して、所轄の運輸支局へ行きましょう。
- 申請書(第3号様式の2)
- 手数料納付書
- 自動車検査証(車検証)
- 前後のナンバープレート
- 印鑑証明書(3か月以内に発行したもの)
- 所有者の実印
- 委任状(代理人が手続きする場合)
申請書や手数料納付書は運輸支局に用意されており、その場で記入して提出できます。手数料は運輸支局の窓口でも購入できる印紙での支払いとなり、350円必要です。その他の費用としては、手続きに必要な印鑑証明書の発行手数料や、運輸支局までの交通費などがあるでしょう。
車検証やナンバープレートなどを添えて運輸支局の窓口に必要書類を提出し、提出書類や記入内容に不備がなければ、その日のうちに一時抹消登録は完了します。また、一時抹消登録が受理されると「自動車検査返納証明書」が交付されます。
永久抹消登録
永久抹消登録もナンバープレートを返却して、車の登録を抹消する手続きですが、これは処分される車を前提としています。そのため、車を処分したうえで、それを証明する「解体にかかる移動報告番号および解体報告日」を添えての手続きとなります。
「解体にかかる移動報告番号および解体報告日」は、廃車してもらった業者に確認するほか、自動車リサイクルシステムのホームページでも調べられます。
手続きは一時抹消登録と同じく運輸支局で行い、必要な書類は次の通りです。
- 申請書(第3号様式の3)
- 手数料納付書
- 自動車検査証(車検証)
- 前後のナンバープレート
- 解体にかかる移動報告番号および解体報告日
- 印鑑証明書(3か月以内に発行したもの)
- 所有者の実印
- 委任状(代理人が手続きする場合)
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自動車税の通知書はいつ届くの?
自動車税の納税通知書は、毎年4月1日時点で車を所有している人に対して発送され、通常5月上旬から中旬までに届きます。そのため、ゴールデンウィークが明ける頃に届くイメージを持っている人も、多いのではないでしょうか。
納付期限は、5月末としている自治体がほとんどです。ただし、一部地域では1か月程度ずれるところもあるので、気になるなら自治体ホームページなどで確認するとよいでしょう。
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自動車税の納付期限に遅れた場合にはどうなるのか
自動車税を納付期限までに納めずにいると延滞金が発生し、日数に応じて金額が増えていきますそして、滞納している状態であると、車検が受けられません。
自動車税の納付期限に遅れると、デメリットしかないので注意しましょう。
延滞金の支払いが発生
自動車税を支払期限までに納付しなかった場合、経過日数に応じた延滞金が発生します。
延滞金割合は自治体ごとに異なりますが、東京都の場合、2022年(令和4年)1月1日から12月31日までの期間に適用される割合は、期限翌日から1か月経過するまでが2.4%、それ以降は8.7%です。この割合を自動車税に掛けたのち365日(1年間)で割り、延滞日数を掛けた金額が延滞金となります。
なお、納付期限から1か月が経過すると催促状が届き、その後も滞納を続けると督促状が送付されます。さらに無視を続けると、地方税法に則った財産の差押えに発展する可能性もあるので、自動車税は期限内に納めましょう。
車検が受けられない
車検を受ける際は、自動車税の滞納をしていないことが条件となります。したがって、納付期限を過ぎているにも関わらず放置していると、車検が受けられません。
車検の有効期限が切れた車両は、公道を走らせることができず、もしもその状態で使用したなら道路運送車両法違反です。無車検車運行となり、違反点数6点と30日間の免許停止処分、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
車検を受けるときになって自動車税の払い忘れに気付いたなら、速やかに納税を済ませましょう。
まとめ
車検切れの車でも自動車税は課税されますが、車検を受けない限り自動車重量税を支払う必要がありません。また、地域によっては課税保留制度によって、車検切れの車にかかる自動車税が一時的に保留されるケースもあるようです。
ただし、課税保留制度はあくまでも「保留」であり、自動車税が免除されるわけではありません。車検切れの車を課税対象から外すには、抹消登録をする必要があります。
また、自動車税を納めていないと、延滞金が発生したり車検が受けられなくなったりといった、デメリットがあります。今の車を乗り続ける予定なら、車検切れに注意するとともに、自動車税も納付期限までに納めるようにしましょう。