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2021年10月31日

自賠責保険の名義変更が必要な理由|手続き方法も解説

車を公道で運転する際、自賠責保険の加入が法律で義務付けられています。しかし、

「車の所有者が変わった場合、自賠責保険の名義変更はするのだろうか?」

「自賠責保険の名義変更をする場合、どこでどのようにして行えばよいのだろうか?」

そんな疑問をお持ちの方も多いことでしょう。

たしかに、自賠責保険の名義変更は絶対必要なのか、法律で決まっているのか、気になることもたくさんあります。

そこでこの記事では、自賠責保険の名義変更の必要性、手続き方法、注意点などを具体的に解説していきます。

自賠責保険の名義変更は必要?

自賠責保険の保険契約者は、車の所有者となっていることが一般的です。

そのため、車を売却または譲渡して所有者が変わった場合、自賠責保険の保険契約者もそれまでの所有者ではなくなります。

よって、名義変更手続きが必要にはなりますが、法律において自賠責保険の名義変更は明確な決まりがないため、行わなくても違反とはなりません。

しかし、自賠責保険で名義変更を行わないと様々なトラブルが発生してしまう恐れがあるため、名義変更する人が多いというのが事実です。

そのため、車を売却または譲渡して名義が変わった場合、自賠責保険の名義変更もあわせて行っておいた方がよいでしょう。

対人賠償は継続している

自賠責保険は対人補償であるため、事故の相手が死傷した際に保険金が下りる仕組みになっています。

よって、保険契約者が誰であったとしても、自賠責保険の保険有効期間であれば、賠償はされるのです。

中古車として買い取る場合や譲渡された後、名義変更を行わないまま死傷事故を起こしたとしても、対人賠償はしっかり継続しているため、この点では安心できるといってよいでしょう。

名義変更の手続き方法

では、自賠責保険の名義変更はどのように行えばよいのでしょうか?

事前に準備すべき書類やかかる費用、手続き方法を具体的に見ていくことにしましょう。

業者に頼む場合

「忙しくて保険会社の窓口まで出向くことができない」

「必要書類を受け取るとために役所などに行く時間がない」

このような場合、自賠責保険の名義変更は代行業者に依頼することも可能です。

代行業者は主に、車を購入したディーラーや中古車販売買取業者などが挙げられます。

名義変更代行の依頼先

自賠責保険の名義変更を代行してくれる中古車販売買取業者は主に

  • ガリバー
  • カーセンサー
  • グーネット
  • ネクステージ
  • ラビット
  • ビッグモーター
  • アップル

などが挙げられます。名義変更代行費用は、こうした中古車販売買取業者の場合、諸費用に含まれているケースがほとんどです。

内訳等詳しく知りたい場合は、依頼先の業者に事前確認しましょう。

個人で手続きを行う場合

自賠責保険の名義変更手続きは提出する必要書類が少なく、手続きもそれほど難しくはないため、車の手続きに詳しくない人でも自分で行うことはできます。

ただし、必要書類の中には発行まで1週間ほどかかるものもあるため、手続きをスムーズに行うために事前準備が大切になります。

また、受け渡しがあった日から15日以内に名義変更を行う必要があるため、スケジュール管理も重要になります。

手続き場所

手続きは、加入している保険会社の窓口へ直接出向かなければいけません。

つまり、電話やネット上での名義変更は受け付けていないため、注意しましょう。

自賠責保険証明書には、契約している保険会社名が必ず記載されています。

その保険会社のホームページを検索し、自宅から最寄りにある営業所を調べ、営業時間や電話番号を確認しましょう。

手続きタイミング

自賠責保険の名義変更は、車の購入と同時に行うのがおすすめです。

前述のように、名義変更を行わないこと自体は違法ではないため、購入時に手続きをしなくても問題はありません。

しかしこのタイミングを逃し、名義変更のためだけに再度手続きを行う必要がでるため、購入時に名義変更を行った方が効率がよいといえます。

また、親族や知人や友人から譲られた場合も先延ばしにせず、受け渡し時に名義変更しましょう。

手続きの手順

自分が加入している保険会社のホームページを検索し、最寄りの営業所の住所や営業時間等を調べておきましょう。

名義変更時に印鑑証明書が必要な場合、事前に役所などへ行き、発行手続きをしておきましょう。

必要書類が準備できたら保険会社営業所の窓口へ直接出向きます。

窓口には自賠責保険承認請求書があるので、受け取り後その場で記入し、押印して窓口に提出します。書類に不備がなければ新しい保険証明書が発行されます。

名義変更に必要な書類

自賠責保険の名義変更に必要な書類は、普通自動車・軽自動車ともに以下の通りです。

  • 自賠責保険証明書
  • 譲渡人、譲受人どちらの印鑑も捺印されている自賠責保険承認請求書
  • 自動車売買契約関係書類・保険契約者(譲渡人)の実印と印鑑証明書
  • 免許証や健康保険証などの本人確認書類

これらの自動車売買契約関係書類がない場合は、車検証の提示によってそれまでの所有者から譲受する意思があることを証明してくれます。

名義変更にかかる費用

自賠責保険の名義変更は手数料がかからず無料というのが一般的です。しかし、必要書類準備のために多少の費用はかかります。

車を譲り受けた人が手続きを行う場合、譲渡人の印鑑登録証明書を提出する必要があるため、役場に出向いて発行手続きを行います。

この際、譲渡人の印鑑登録証と代理人の本人確認書類を提出し、手数料として300円程度かかります。

ただし、印鑑登録証明書をコンビニ交付している市町村であれば、役場の発行より安く200円程度となります。

名義変更をしないことで発生するトラブル

自賠責保険の名義変更は法律では義務付けておらず、名義変更しないまま契約車両で死傷事故を起こしたとしても、保険の有効期間内であれば保険金は下ります。

しかし、名義変更を行わないと、様々なトラブルが発生してしまう可能性もあります。具体的に見ていくことにしましょう。

契約更新のお知らせが届かない

自賠責保険の名義変更を行わないと更新手続きのお知らせが以前の保険契約者のもとへ届いてしまいます。

親類や知人友人であれば、更新手続きのお知らせが届いたと連絡してもらえることもあるでしょう。

しかし、以前の保険契約者が何も手続きしないままにしておけば保険契約期間が切れ、そのまま車を運転すると法律違反になってしまいます。

また、死傷事故を起こしてしまっても保険金が下りないといった事態も起こり得るため、注意が必要です。

個人情報漏洩のリスクが高い

自賠責保険証明書には以下のような内容が記載されています。

  • 証明書番号
  • 保険契約期間
  • 車台番号
  • 自動車種別
  • 保険契約者の住所氏名
  • 保険料

自賠責保険の名義変更をせずに第三者に車を譲渡した場合、それまでの保険契約者の情報が記載された自賠責保険証明書も譲渡されてしまうリスクが発生します。

このように、名義変更を行わずにいることで、前の保険契約者に迷惑をかけてしまう恐れがあるため注意しましょう。

保険証の再発行に時間がかかる

自賠責保険証明書は車やバイクに乗る際に携帯することが法律で義務付けられており、不携帯は法律違反で罰金も科されます。

自賠責保険の名義変更を行わずに自賠責保険証明書も紛失してしまった場合、再発行しなければなりません

しかし、どこの保険会社に加入していたのかを調べるだけでも時間がかかってしまいます。

また、名義が異なる場合は前の保険契約者に問合せをしなければならず、再発行の手続きにさらに時間がかかり大変になります。

保険金支払いの手続きが煩雑になる

名義変更を行わずに死傷事故を起こしてしまうと、車の名義人と自賠責保険の名義人が同じではないため、保険会社から違うことの理由を問われます。

この際、同じであることを証明するために、自動車譲渡や売買の書類が必要になります。

これは自賠責保険の更新手続きや車を廃車にする際も同様の書類を準備しなければなりません。

このように、名義変更をしておかないと、様々な手続きに時間がかかってしまうため効率が悪くなります。

名義変更の際の注意点

これまで見てきたように、自賠責保険の名義変更を行わないと、様々なトラブルが発生してしまう可能性があります。

では、名義変更を行うにあたって注意すべきことはどのようなことなのでしょうか?具体的に解説していきます。

車検切れの車の名義変更

道路運送車両法では、車検を受けて車検証を交付されている車でなければ公道を走行できないとしています。

つまり、車検切れのまま取り締まりを受けた場合、法律違反が発覚し、罰金が科されます。

また、交通違反で減点となり、30日間の免停処分を受けることになります。

自賠責保険の名義変更は車検時にいっしょにできるため、車検切れの場合はまず車検を受けることにしましょう。

前名義人が死亡もしくは不明の場合の名義変更

前名義人が死亡もしくは不明の場合、自賠責保険の名義変更で、自賠責保険証明書、自賠責保険承認請求書、本人確認書類に加え

  • 除籍謄本
  • 登録事項等証明書
  • 名義人を変更した車検証

の3つがさらに必要になります。

名義人が死亡した場合、まず車の名義を事前に変更する必要があります。上記の登録事項等証明書は、名義変更を証明する書類となります。

名義が変更になったことを証明する新たな車検証を提出する必要もあるので、きちんと準備できるよう注意しましょう。

名義変更手続き中の運転

通常であれば、名義変更手続きは必要書類が揃っていればその日に終わり、保険証明書もすぐに発行されます。

しかし、不備があった場合、手続きは一時中断となり、即日に新しい保険証明書は発行されません。

車を運転する際は、法律で自賠責保険証明書の携帯が義務付けられています。

もし手続きに不備があった場合、自賠責保険証明書を携帯せず車に乗ると法律違反となるため、公共の交通機関を利用しましょう。

コンビニでの名義変更

原付などの小型バイク(排気量250cc以下)の場合、自賠責保険の加入や更新手続きはコンビニでも行えますが、自賠責保険の名義変更はできません。

排気量250cc以下の小型バイクも、自賠責保険の名義変更は保険会社営業所の窓口に直接出向いて行う必要があるため、加入している保険会社の最寄りの営業所、営業時間等を確認しておきましょう。

まとめ

自賠責保険の名義変更は、法律で義務付けられてはいないため、しなくても違法にはなりません。

しかし、名義変更をせずにいると契約更新のお知らせが届かない、前の保険契約者の個人情報漏洩の恐れがあるなど様々なトラブル発生の可能性もあるため注意が必要です。

名義変更は業者に依頼する場合が一般的ですが、個人で行う場合は必要書類を不備なく準備し、保険会社営業所の窓口に直接出向いて行わなければなりません。

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