車からポタポタと液体が垂れ、水たまりができていると、オイル漏れの可能性があります。
しかし、オイル漏れは車の外に漏れるだけでなく、内部で漏れていることも。オイル漏れに気づかなかったり、気づいていても放置したりすると、車を傷めてしまいます。
故障発生のリスクが高まるだけでなく危険な事故につながる恐れもあるので、早めの対処が重要です。この記事では、エンジンオイル漏れの確認方法やオイル漏れの原因、対処方法を解説します。
車を長く安全に乗るため、確認しておきましょう。
目次
エンジンオイル漏れとは
エンジンオイル漏れは、エンジン内で潤滑や冷却、防錆・腐敗防止といった働きのあるエンジンオイルが漏れてしまう現象です。
オイルが漏れていると、エンジンに負担をかけて部品を傷めるだけでなく、引火して火災が発生する恐れもあります。
車のオイル漏れが見つかった場合は、早急に対処しなければなりません。定期的に確認し、漏れを悪化させない・未然に防ぐことも重要です。
エンジンオイル漏れの確認方法
車から漏れ出てくる液体は、エンジンオイルの他に冷却水やエアコンの排水、ガソリンなどもあります。
液体の状態や漏れた位置により、エンジンオイル漏れであるかをある程度判別できます。
車から液体が漏れていたら、液体の種類を確認しましょう。また、オイルゲージのメモリを見て残量を確認しておくのも、オイル漏れ発見につながります。
①オイル漏れの位置
液体が漏れている位置が車のどの部分なのかを確認しましょう。車体下で影になっていると見にくいので、車を少し動かします。
漏れ出た液体で地面にシミができている場所がエンジンルームの真下であれば、エンジンオイル漏れの可能性大。特にシミが広範囲で水たまりのようになっていたら、早急に対処する必要があります。
②漏れた液の状態(臭い・色)を確認する
エンジンオイルが漏れている場合、液体には次の特徴があります。
- 焦げたような強い臭気がする
- 色が黒又は茶色で濁っている
- 液体に粘度がある
これらの条件に当てはまるなら、オイル漏れを疑い適切な処置をしましょう。
また、赤や青、緑色などの色の付いた液体であれば、エンジンの冷却水が漏れています。この場合も、早急に修理が必要です。
ガソリン臭がしている場合は、ガソリン漏れです。非常に危険な状態なので、車を動かさず、すぐにロードサービスや修理業者に連絡しましょう。
臭気・色がなく、粘り気もない液体であれば、エアコンの排水や排出ガスの水分です。危険性はありません。
オイルゲージでの確認も可能
漏れている位置や液体の状態だけでなく、オイルゲージでのオイル量確認でもオイル漏れを発見できます。
オイルゲージはボンネットの中にあるので、駐車場から出す前、あるいは停車させてしばらく時間が経ち、エンジンが冷えた状態にしてから開けましょう。
オイルレベルゲージのメモリを確認し、減りが早すぎるようであれば、漏れている可能性があります。
エンジンオイル漏れには2種類ある
エンジンオイル漏れには、外部漏れと内部漏れの2種類があります。どちらも車体やエンジンを傷め、事故発生リスクが高まるので、早期の発見や対処が重要です。
外部漏れ
車の外にエンジンオイルが漏れ出ている場合は、外部漏れとなります。
停車時、車の下のポタポタと液体が垂れているなら、オイル漏れをしていないか確認しましょう。出ている液体の色が黒や茶色で焦げた臭いがするなら、エンジンオイル漏れの可能性があります。
走行時のガソリン燃焼や排気ガスの熱で高温になると引火する恐れも。発見したら車の走行を控え、早めに対処しましょう。
内部漏れ
内部漏れは、部品の劣化や損傷によって、エンジンオイルが染み出している状態。
外側に漏れ出ていないため気づきにくいのですが、漏れ出たオイルがガソリンと共に燃焼すると、マフラーから白煙が上がることもあります。
外側に漏れている形跡がなくても、エンジンオイルの減り方が早いようなら内部漏れを疑いましょう。見た目で判断しにくいので、定期的に点検し、早期発見・予防に努めましょう。
エンジンオイル漏れの5つの原因
エンジンオイル漏れが起きるのは、事故で車が損傷した場合だけではありません。内部に使われている部品の経年劣化によってもオイル漏れは発生します。
点検時にオイル漏れを発見しやすくするため、5つの原因を解説します。
バルブシールの劣化
バルブシール(バルブステムシール)は、エンジンオイルが燃焼室に入り込むのを防ぐシールです。
古いエンジンオイルを使い続けてしまうと、オイル内に金属粉が混入します。
その結果、ドス黒くドロドロの状態になってしまい、バルブシールを劣化させてしまいます。そして、劣化したバルブシールからオイル漏れが発生します。
こまめにエンジンオイルを交換しておくと、バルブシールが劣化しにくくなります。
ガスケットの劣化
車には接合部の隙間を埋め、部品間に流れる液体・気体が漏れないようにするガスケットという部品があります。ガスケットは外部からの異物も防ぐためのゴムやプラスチック、金属でできたパーツです。
劣化すると気密性がなくなるため、エンジンオイル漏れにつながります。ガスケットは消耗部品でもあるので、日頃の点検で劣化が見つかれば、交換するようにしましょう。
ドレンボルトの摩耗
オイル排出口となるドレンボルトが摩耗すると、隙間ができてオイル漏れが発生します。
経年劣化だけでなく、整備時の締め過ぎにより摩耗するケースもあるので、注意しましょう。ドレンボルトの締め具合が適切にできているか、定期的なチェックがおすすめです。
オイルパンの破損
オイルパンはエンジンオイルを留める部品。他の部品と比べて損傷しにくい部分ですが、破損するとオイル漏れします。
オイル漏れが重症であれば、オイルパンの破損を疑いましょう。オイルパンの損傷は、縁石などにぶつけて破損するケースと、経年劣化で錆びて穴の開くケースがあります。
ピストンリングの摩耗
ピストンリングはエンジンオイルが燃焼室に上がってくるのを防ぐ部品です。
摩耗して隙間ができてしまうと、オイル漏れを引き起こします。 経年劣化によって傷むので、摩耗が見つかれば交換しましょう。
エンジンオイル漏れの確認方法に困ったら
ここまででエンジンオイル漏れの原因となる5つを紹介しました。
ですが、どれも細かい部品にあたるため初めてでは判断が難しいケースが考えられます。だからといい放置するのも危険ですので、少しでも迷った際は専門店に相談することをおすすめします。
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エンジンオイル漏れが発生した時の応急処置
オイル漏れに気づいたなら、早めの対処が重要です。漏れている箇所を特定し、修理を施すのはもちろんですが、応急処置によって進行を防ぎましょう。
エンジンオイル漏れ止め剤を使う
オイル漏れの原因となっている、パッキンやシールの損傷箇所を塞ぐ止め剤があります。2,000~3,000円程度で購入でき、手軽に使えるので、用意しておくと安心です。
しかし、漏れ方がひどい場合は、オイル漏れ止め剤で塞ぎきれないこともあるでしょう。
漏れ止め剤による応急処置では対処しきれないなら部品交換が必要です。応急処置をした後、修理しましょう。
オイルへの添加剤を使う
軽微なオイル漏れであれば、オイルの粘度を上げる添加剤を使うことで、漏れを解消できます。
また、添加剤を加えるとシールの伸縮性や弾力性を回復させる効果も期待できます。オイル漏れの予防策として、添加剤を混ぜておくのもおすすめです。
ただし、オイル漏れ発生後に添加剤を使用したのでは効果が出るまで時間がかかることもあります。漏れ方が重症な時は間に合わないかもしれません。
シールやパッキン部分が割れている場合も、オイルの粘度を固くしただけでは漏れを止める効果が得られないでしょう。
粘度の高いオイルに変更する
オイルそのものを、粘度の高いものに変えてしまうのもおすすめです。
粘度は「15W-40」といった表記になっており、Wの右側にある数字が大きいほど高温になっても固い状態を保てるエンジンオイルです。
しかし、エンジンオイルは車やエンジンとの相性を考えなければなりません。適したオイルでなければ、エンジンに負担がかかり、性能や燃費が低下します。
エンジンオイルを変える場合は、メーカーが推奨する粘度を確認しましょう。
エンジンオイル漏れの修理費用
エンジンオイルが漏れてしまった場合の修理費用は、進行具合や部位、依頼先によって金額が異なります。
市販の添加剤やボルトの締め直し、簡単な部品交換ならば数千円程度で解決できます。しかし、交換に手間のかかる部品やエンジンの組み直しが必要な場合は、高額になるケースもあるでしょう。
修理の依頼先はディーラーや整備工場、ガソリンスタンド、カーショップなどがあります。対応できる修理範囲や金額が違うので、確認してから利用すると良いでしょう。
添加剤の購入
軽微なオイル漏れであれば、添加剤をエンジンオイルに入れるだけで、解消される場合があります。
市販の添加剤は、1,000~2,000円程度で販売されています。外出先でオイル漏れに気づいた場合の応急処置としても使えるので、用意しておくと安心です。
添加剤をエンジンオイルに混ぜると、オイルの粘度が上がり、皮膜効果で漏れを防ぎます。また、シール部分の伸縮性や弾力性を回復させる効果もあります。
ボルトの締め直し
ボルトやナットの緩みによるオイル漏れであれば、締め直せば修理完了です。数千円程度の修理費用で済むでしょう。自分で締め直しができれば、さらに費用を節約できます。
ただし、締め過ぎて部品が破損するとオイル漏れ症状を悪化させるので、注意しましょう。
劣化したパーツの交換
部品交換が必要になった場合、交換部品によって費用は変わります。
シリンダーヘッドカバーのガスケット交換は車種やエンジンによって部品代が異なりますが、だいたい1~2万円程です。もし、自分で交換できるならば、部品代の数千円程度で済むでしょう。
オイルシールの交換はシール部分によって費用に差が出ます。軽微な箇所であれば1~3万円程度。交換作業に他の部品を外す必要がある場合は10万円程度必要なケースもあります。
オイルパン交換の費用は2~3万円程。車種によっては10万円近くするケースもあります。
交換作業にも時間がかかるので、業者に依頼したほうが良いでしょう。
エンジンの組み直し
シリンダーブロックやシリンダーヘッドの歪みによるオイル漏れは、エンジンの組み直しが必要になります。エンジンを取り出して作業するため、費用は20万円以上かかるでしょう。
場合によっては100万円程度かかることもあり、金額によっては買い換えを検討したほうが良いかも知れません。
エンジンオイル漏れを放置すると危険!
エンジンオイルが漏れた状態を放置するのは危険であり、デメリットしかありません。
オイル漏れを放置した際どうなるか、3つに分けて紹介します。
車検に通らない
オイル漏れしている車は、安全性が得られない車両と判断され車検に通りません。今後も乗り続けるなら、車検は避けられないので、放置せず修理しましょう。
また、「エンジンオイルが漏れた状態で車は走れるの?」という質問をよく頂きます。
結論、走れます。ただ、オイル漏れは道路交通法違反になるため注意が必要です。オイル漏れによる違反を切られるのはごく稀ですが、車検場までの走行にも問題があるということを理解しておきましょう。
修理費用が高額になる
オイル漏れの初期段階なら簡単な修理で済みますが、放置すると修理費用が高額になる場合があります。漏れたオイルがあちらこちらに付着すると、修理時に漏れている部分の特定が難しくなるでしょう。
最悪、エンジンが焼き付いてしまうと、多数の部品を交換しなければなりません。車の買い換えを余儀なくされることもあるので、オイル漏れが発覚したら速やかに処置しましょう。
漏れたオイルに点火するリスク
走行中の車両内部は、非常に高温です。熱い排気ガスの熱にさらされ続け、エンジンオイルの発火点とされる350度に達することもあります。
発煙・発火だけでなく、車両火災が起きると、取り返しのつかない事故になりかねません。
車だけでなく、オーナー自身や家族の安全を守るためにも、オイル漏れは早急に修理しましょう。
まとめ
オイル漏れのまま放置すると、車検に通らないだけでなく、車の故障原因となります。最悪の場合、火災や重大な事故を引き起こしかねません。
わかりやすく漏れ出ている外部漏れと、外観からは気づきにくい内部漏れがありますが、どちらも早めの発見と対処が大切です。
定期的に点検し、不具合があればすぐに修理しましょう。また、応急処置できるようオイル漏れ止め剤の準備や、オイル漏れを防ぐ添加剤を混ぜておくのもおすすめです。