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2021年12月7日

車のバッテリー交換方法|交換時期や手順、注意点を解説

車のバッテリーはエンジンの始動や車内設備の稼働などに必要なものですが、もちろん使用することで劣化していきます。

この記事では、バッテリーの交換時期や交換方法、バッテリーを長持ちさせる方法などを解説します。

車のバッテリーの一般的な寿命

車種や使用頻度・乗り方によって車のバッテリーの寿命は左右しますが、ガソリン車は2~5年程度、アイドリングストップ機能を搭載した車は2~3年、HV車は4~5年です。

アイドリングストップ機能を搭載すると寿命が短くなるのは、アイドリングストップによるエンジン停止・再始動の頻度が高いため、バッテリーに負荷をかけるからです。

バッテリーにはメーカー保証があるため、保証期間を寿命として認識している人も多いでしょう。

しかしメーカー保証期間は寿命を示すものではなく、製品の機能や品質の保証期間です。

車のバッテリー交換が必要な理由

車のバッテリーは、エンジン始動のほかエアコンや照明、カーナビなどを動かすために使われる電力を供給する蓄電池です。

蓄えている電力がなくなるとエンジンがかからず、車内設備も動きません。

また、バッテリーの劣化が進むと十分な電力を蓄えられず、走行時に不具合を起こすため、定期的な交換が必要になります。

車のバッテリー交換の費用相場

車のバッテリー交換にかかる費用は、以下の3つで構成されます。

  • 新しく取り付けるバッテリーの費用
  • 交換にかかる工賃
  • 古いバッテリーの廃棄料

バッテリー本体の交換費用相場

バッテリー本体の価格は5,000~40,000円程度と、金額に大きな開きがあります。

メーカーや製造国による違いもありますが、純正品は20,000円程度、アイドリングストップ車やHV車、EV車(電気自動車)はもう少し割高です。

性能に比例して金額も高くなるのが一般的ですが、近年安価なものも品質が向上しています。

求める性能と予算から選ぶと良いでしょう。

また、交換を依頼する業者や購入場所によっても値段は変わります。

ディーラーに依頼する場合は純正品しか選択肢はなく、ほぼ定価購入となるでしょう。

自動車整備工場やカー用品店では取り扱っているバッテリーの中から選べますが、大幅な値引きはありません

ネット通販は、メーカー純正品でも大幅にディスカウントされていることも多いのが特徴です。

バッテリー交換の工賃の費用相場

バッテリー交換の工賃は、一般的なガソリン車であれば1,000円程度、HV車は3,500円程度、EV車は1,500円程度となり、依頼先によっても違いがあります。

ディーラーは作業品質が信頼できるものの、1,000~3,000円程度かかり、整備工場はもう少し割安です。

カー用品店はバッテリーを購入すれば、格安で交換作業してくれることが多いようです。

ガソリンスタンドも交換作業をしてくれる店舗はあるものの、価格に開きがあって品質も一定ではないことが多いので注意しましょう。

交換したバッテリーの廃棄料

車のバッテリーには有害物質が多く含まれており自治体のゴミ回収には出せないため、交換時には廃棄料を負担します。

廃棄料は交換の工賃に含まれていれば無料となりますが、別途必要な場合は3,000円程度見ておきましょう。

交換費用を安く抑えるために自分で交換作業をした場合は、取扱店や回収業者に依頼するなど適切な処理が必要です。

バッテリー交換時期の目安

バッテリーの交換時期が近づくと、車の走行や性能に変化を感じることがあります。

次に紹介する交換時期の目安となるサインを見落とさず、適切なタイミングで交換しましょう。

エンジンがかかりにくい

バッテリーの電力が一番必要なのはエンジンの始動時です。

エンジン始動時には、バッテリーの電気を使ってセルモーターが回転します。

この時に電力を多く消費しますが、バッテリーが弱まり電力不足になるとエンジンがかかりにくくなります。

エンジンが動くまで時間がかかる・音が弱いと感じるなら劣化のサインです。

ヘッドライトが暗い

ヘッドライトもバッテリーからの電力供給で灯火しています。

以前よりも暗いと感じたなら、バッテリーが劣化しているかもしれません。

しかし最近は低電力でも明るいLEDライトが使われることが増え、見分けがつかないこともあります。

また、走行中はバッテリーが充電されるため、明るさが保たれる傾向にあるようです。

ライトの明るさ確認は停車時がよいでしょう。

バッテリーの異変が確認できる

点検時に目視できるようなバッテリーの異変があれば、劣化が進んでいるサインです。

以下のような異変が見られたら交換しましょう。

バッテリー液が変色している

車のバッテリーの中には、希硫酸という電解液が入っています。

このバッテリー液は走行中、化学反応を起こして放電と充電を繰り返すうちに濁ってきます。

通常は無色透明の液体ですが、変色するほど濁っていたら交換時期です。

バッテリーの電圧が下がっている

バッテリーの電圧は通常時12.5~12.8V、エンジン始動時13.5~14.5Vとなります。

検電テスターの点検で12.5Vを下回るようなら、性能が低下している証拠です。

走行中のトラブルを回避するため、バッテリーを交換しましょう。

本体が膨らんで見える

バッテリーの電極が劣化すると内部で化学反応が起き、膨張して見えるようになります。

目に見えて膨らんだ状態になっていれば、バッテリーを早めに交換しましょう。

端子の周りに粉が付いている

バッテリーの端子部分に青白い粉が付着することがあります。

青い粉はケーブルの銅から発生するサビであり、整備工場などで除去できます。

白い粉は端子の鉛から発生するサビ、または放電時に結晶化した電解液です。

除去や発生を抑える方法もありますが、頻繁に出てくるようならバッテリーが弱まっていると考えられるので、交換時期と見てよいでしょう。

アイドリングストップする頻度が低下している

アイドリングストップ機能搭載車は、ストップ機能を使うときも電力消費します。

アイドリングストップ機能を使っているにもかかわらず正常なエンジン停止がされないなら、バッテリーの寿命が近づいていると考えられます。

パワーウィンドウの開閉の動きが鈍くなった

パワーウィンドウなどの設備もバッテリーに蓄えられた電気によって動きます。

ただし他にも電気を使う設備を搭載していると、その電力消費もパワーウィンドウの動きに影響します。

その他のバッテリー寿命と思われるサインと併用し、異変を感じたなら点検をしましょう。

バッテリーの消耗が激しくなる車の使い方

車の使い方や走行場所の状態によっても、バッテリーの消耗具合は変化します。消耗が激しくなる代表例を4つ紹介します。

車に滅多に乗らない

車のバッテリーは、エンジン始動や車内設備の使用によって電力消費しますが、走行中は充電されるようになっています。

しかし車に乗る頻度が少ないと、充電が不十分なままエンジン始動を繰り返すことになります。

充電不足の状態で乗り続けると消耗が激しくなり、バッテリー上がりも起きやすくなるでしょう。

ライトやスイッチの使用時間が長い

夜間の走行が多いとライトを多用し、車内灯の使用頻度も高くなります。

明かりが必要な夜の時間帯に乗ることが多い場合はバッテリーの電力消費が多くなるため、バッテリーの劣化も早まるでしょう。

電気消費量の多い設備を搭載している

カーナビやドライブレコーダーなどの設備を利用している方は多いでしょう。

車内で快適に過ごせるようモバイル端末の充電ができるようにしたり、オーディオにこだわったりしている人もいます。

便利であるものの、こうした設備は電力を消費してバッテリーに負担をかけるので、不要な設備がないか確認してみましょう。

高温や低温の環境下で車を使用している

車のバッテリーは、気温20~25℃の環境下で性能が発揮できるよう作られています。

そのため、寒冷地や高温状態になる地域での走行はバッテリーに負担をかけてしまいます。

地域の違いだけでなく、日本は季節による寒暖差もあり、夏や冬も同様の負荷をバッテリーに与えます。

暑い・寒い環境下ではエアコンを使う機会も多く、バッテリーを酷使します。

バッテリーの劣化を防ぐ方法

バッテリーの劣化を防ぎ、寿命を伸ばすにはどのような方法があるでしょうか。

バッテリーに電力を充電する

バッテリーはエンジン始動時に電力を消費し、走行時に充電される仕組みになっています。

充電された状態を保つことで劣化を抑えられます。

定期的に乗車する

車に乗らなくても、バッテリーは自然放電しています。

週に1回を目安として乗車機会を作り、エンジンを動かして充電させるようにしましょう。

長距離の運転をする

バッテリーの充電は走行時に行われますが、短距離・短時間では不十分です。

信号や踏切による停止が少なく済む道で10km以上・30分程度の走行を目安に、定期的な運転を取り入れましょう。

必要最低限の設備に限定する

車内に設置する機器・設備類の見直し、電力消費を削減するのも劣化対策の1つです。

カーオーディオや携帯端末の充電機器といった機器にこだわるのも良いですが、バッテリーの電力消費も早くなります。

バッテリーが早く劣化するようになれば、その分交換も増えて費用がかさみます。

短距離運転が中心であるならば、必要最小限の設備に留めて電力消費を抑える工夫をしましょう。

バッテリーの定期点検と補水を行う

定期的な点検を実施し、バッテリーの状態を確認しておくのも劣化防止には重要です。

数か月に1度はバッテリーの様子を確認して、充填されているバッテリー液の量が不足しているようなら市販の補充液を加えます。

不足した状態で走行を続けると火災を引き起こす原因となります。安全に乗るためにも、定期的な点検と補水を行いましょう。

バッテリー上がりを防ぐ

電力が完全になくなったバッテリー上がりの状態になると、エンジンがかからないだけでなく、バッテリーの性能も損なわれます。

1度でもバッテリー上がりを起こしてしまうと、その後充電しても本来の性能は得られません。

バッテリーを消耗させる乗り方を見直し、車内で使用する電気機器を減らしましょう。

十分な充電ができるよう、一定量の走行を定期的に行うのも有効です。

バッテリーを自分で交換する方法

業者に交換依頼するよりも、通販で安くバッテリーを購入して自分で交換できれば費用を抑えられると考える人もいるでしょう。

ここからは、バッテリー交換に必要な道具や手順、交換時の注意点を解説します。

バッテリー交換に必要な道具

自分で交換する場合、新しいバッテリーの他に以下の道具を用意しましょう。

  • レンチ、ソケットレンチ、プラスドライバーなどの工具
  • 軍手やゴム手袋、保護メガネなどの装備品
  • 絶縁テープなど端子を覆うもの
  • メモリーバックアップと乾電池
  • サンドペーパーやワイヤーブラシなど腐食部の清掃道具

バッテリー端子の取り外し・取り付けには、工具を使います。

作業時の安全対策として、手や目を保護できる道具も用意しましょう。

取り付け・取り外し時に端子が金属に触れてショートしないよう、絶縁性のあるものでカバーできると安心です。

バッテリー交換時に車に蓄積されたデータや設定が消える恐れがあるので、メモリーバックアップを準備しておきましょう。

また、新しいバッテリーをしっかり取り付けるため、腐食部分の清掃道具を用意しておくのもおすすめです。

バッテリーの交換手順

バッテリー交換をする際は、まず工具を使って固定部品を取り外します。

そして、あらかじめ電池をセットしたメモリーバックアップを接続します。

そのうえで、接続されたケーブルを外して、車から取り出しましょう。

取り外した際に砂利やサビがあるなら取り除き、新しいバッテリーが固定しやすいようにします。

続いて新しいバッテリーをセットし、端子を接続。メモリーバックアップを取り外して、バッテリーを固定します。

最後に取り外した古いバッテリーを処分すれば交換完了です。

バッテリー交換の際の注意点

HV車やEV車以外の車であれば、バッテリー交換は自分でもできます。

しかし不注意から事故につながる危険性もあるので、注意点はしっかり覚えておきましょう。

発火や車両火災に注意する

バッテリーの取り外し・取り付け時に、プラスとマイナスの端子が同時に金属と接触すると、通電してショートします。

またマイナス端子がつながったまま、取り外したプラス端子に金属が触れても同様に危険です。

発火や火災につながる恐れがあるので、十分に注意しましょう。

車は金属パーツが多く作業に使う工具も金属製なので、交換中のむき出しになった端子と接触する危険性が高まります。

接触を防ぐために、取り付け・取り外し時にもう一方の端子に触れないよう注意するとともに、取り外した端子は絶縁性のあるもので覆うようにしましょう。

取り外しはマイナス端子から取り付けはプラス端子からという手順も、ショートを防ぐために重要です。

必要があれば端子の交換も同時に行う

交換作業時は端子の状態も確認し、劣化が激しいようなら端子の交換も同時に行います。

端子に付着したサビがひどい状態であったり、摩耗して密着度が低かったりすると、交換しても性能が発揮できません。

端子のサビを取り除き、状態が悪いようなら交換しましょう。

データのバックアップをとっておく

最近の自動車は運転する人のクセを学習するアシスト機能を備えていることがありますが、蓄積されたデータはバッテリー交換時に消えてしまう恐れがあります。

他にもカーラジオや車内時計の設定も、交換作業で消えることがあります。

そのため、これを防ぐためにメモリーバックアップを準備しておきましょう。

メモリーバックアップは、乾電池から電流を流して保存情報を保持してくれます。

車種によってはバックアップが不要なケースもあるため、取扱説明書などで確認しておくと良いでしょう。

HV車やEV車の駆動用バッテリーの交換は業者に依頼する

HV車やEV車の駆動用バッテリーは大型で重いため、個人での交換作業は困難です。

さらに、通常のバッテリーより電力が大きく、ショートさせると重大な事故になりかねません。

HV車・EV車の駆動用バッテリーは業者に依頼して交換しましょう。

正しい方法でバッテリーを処分する

取り外した古いバッテリーは正しい方法で処分しましょう。

有害な物質が含まれており、ショートや発火、爆発といった危険性もあるため、自治体のゴミ回収には出せません。

新しいバッテリーを購入したお店では古いバッテリーを引き取ってくれることが多いので、購入時に確認すると良いでしょう。

通販の場合でも、回収対応してくれているところもあります。

まとめ

車のバッテリーには寿命があり、乗り方や使用状況によっても変化します。

交換時期を知らせるサインを見つけたら点検・確認し、定期的な交換を実施しましょう。

また、バッテリーに負担がかかる使い方を見直せば、劣化を防げます。

バッテリー交換時には、新しいバッテリーの購入費用に加え、交換の工賃や古いバッテリーを処分する廃棄料がかかります。

道具を揃えて自分で交換する場合は事故が起きないよう作業手順を確認して行い、古いバッテリーは購入店に引き取ってもらうなど適切な方法で処分しましょう。

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