車のエンジンがかかりにくくなったりライトやパワーウィンドウの調子が悪くなったりしたら、そろそろバッテリーの寿命が迫っているかもしれません。
バッテリー交換は比較的簡単にできるため、工賃の節約のために自分で挑戦したいと考える方も多いでしょう。
ただ自分で交換するにはいくつかリスクもあるので、事前にしっかり確認しておきましょう。
この記事では車のバッテリー交換を自分でするための事前準備や交換手順を説明しながら、自分で交換する際の注意点も解説します。
目次
危険?バッテリー交換は自分で可能か
結論から言うと、バッテリー交換を自分ですることは可能です。その理由としては、作業に必要な工具も基本的なもの(スパナやレンチなど)だけで済み、手順も簡単だからです。
一方で、バッテリーは多くの電気を蓄電しており、バッテリー液に関しても危険な物質が使用されているため注意深く作業をする必要があります。具体的にバッテリー交換を自分でする際に確認するべき3つのポイントを次の見出しでご紹介します。
バッテリー交換前の3つの確認ポイント
自分で車のバッテリーを交換する前に準備しておきたいものやバッテリーの選び方等、交換する前に確認しておきたい点を3つ解説します。
バッテリー交換に必要な道具を揃える
まずはバッテリー交換に必要な道具を揃えましょう。特別なものは何もいりませんが、最低以下のものは準備しておいてください。
- スパナ(10mmの場合がほとんど)
- 軍手など絶縁できる手袋
- バックアップ電源
スパナはバッテリーを支えるステーを取り外す時に必要です。
国産車のほとんどに10mmサイズのナットが使われていますが、稀に例外があるので気を付けてください。
またバッテリーは巨大な電池で電気が流れているので、安全のため軍手など絶縁できる手袋をつけて作業します。
バッテリー液が漏れていたりバッテリー交換に慣れていない場合は、さらに軍手の上につけるゴム手袋と保護メガネも必要になります。
適切なサイズのバッテリーを選ぶ
交換に必要な道具と一緒に新しいバッテリーも準備しましょう。
バッテリーにはいくつか型番があり、その中から適合するものを選ぶ必要があります。
現在使用しているバッテリーを確認する
適合する型番はマニュアルにも記載されていますが、現在使用しているバッテリーを確認するのが確実でしょう。
型番はバッテリーの上部に記載されているのでボンネットを開けるとすぐにわかります。
国産車のバッテリーの型番は『60B19L』のように表示されています。
- 60:バッテリーのポテンシャルを表す。
- B:バッテリーの短い方の側面の面積を表す。
- 19:長い方の側面の長さを表す。
- L:プラス電源の端子位置を表す。プラス電源が手前に来るように縦に置いたときに端子が右に並んでいたらRで、左側に並んでいたらLです。
表示の意味がわかりにくいかもしれませんが、最初の数字は同じ数字かそれより大きい数字のものを、その他は同じものを選ぶと覚えておいてください。
バッテリーを購入する
型番を確認したら新しいバッテリーを購入しますが、カー用品店やホームセンターあるいはネットで購入することが多いでしょう。
ネットの方が安い値段で見つかるかもしれませんが、交換した後に古いバッテリーを引き取ってもらうことを考えると店舗で購入した方がお得です。
バッテリーを扱うお店に行くと探している型番だけでも沢山の種類があり値段も様々です。
メンテナンスが必要かどうかや重さなどの機能も見ながら選ぶようにしてください。
バッテリーは中に硫酸が入っているので、持ち運びや移動の際に倒れないように注意しましょう。
メモリーのバックアップをとる
バックアップ電源はメモリーバックアップに使います。
ここではなぜバックアップが必要なのか、そしてバックアップを取る方法や注意点などをあわせて見ていきましょう。
メモリーのバックアップを取る必要性
バッテリー交換中は車に電気が送られなくなるため、車に搭載されている機器のデータはリセットされてしまいます。
カーナビやラジオなどに保存してあるデータが消えてしまわないようにメモリーのバックアップを取っておくと安心です。
メモリーバックアップを取る方法
メモリーバックアップを取るには、バッテリー交換中に一時的な電源となるバックアップ電源が必要です。
バックアップ電源にはカーバッテリーのターミナルにクリップで繋げて使うタイプと、シガーソケットに差し込んで使うタイプがあり、どちらも2,000円前後で手に入ります。
メモリーバックアップを取る際に気をつけること
ターミナルに繋ぐタイプのバックアップ電源は、プラス端子とマイナス端子をターミナルに接続する順番と外す順番にルールがあります。
小さくても電気に関わる機器なので、安全のためにも必ず説明書をしっかり確認してから使うようにしてください。
バッテリー交換手順
それではいよいよバッテリーの交換手順を見ていきましょう。
注意したいのはバッテリーの端子からターミナルを外したり取り付けたりする順番です。
①エンジンを停止する
バッテリー交換は必ずエンジンを完全に停止させ、キーを抜いた状態で行います。
エンジンを切った状態で車のライトが付いている場合は全て消しておくようにしてください。
エンジンをかけた状態でバッテリーを外してしまうと、電圧が異常に変化して電子機器にダメージを与えてしまいます。
端子がボディーに触れた拍子にメインヒューズが飛ぶほどのショートが発生し、火災につながる危険もあるので注意しましょう。
②マイナス→プラスの順で端子を外す
バッテリーの端子からターミナルを取り外しますが、この時に必ずマイナスの端子を外してからプラスの端子を外します。
準備しておいたスパナでターミナルのナットを緩めるとそのまま外れることがほとんどです。
プラスの端子から外そうとするとショートするので気を付けてください。
もしターミナルが汚れている場合は、電流が流れやすいようにやすりや歯ブラシなどできれいにします。
③固定金具を外す
次にバッテリーを車に固定してある金具を取り外します。
国産車の場合はたいていバッテリー上部からステーで固定されていますが、こちらも端子を外した時に使ったスパナで簡単に外すことができます。
また、ステーにはフックが付いているので一緒に外してください。
輸入車だとバッテリーの固定方法が違う場合があるので、自分で取り外せそうか事前に確認しておきましょう。
④バッテリーを新しいものに変更する
古いバッテリーを取り外し、新しいバッテリーを古いバッテリーと同じ方向にセットします。
外した後の古いバッテリーにもまだ電気が残っているので十分取り扱いには注意してください。
入れ替えの際にも保管する際にも液漏れを防ぐためにバッテリーを常に垂直に保つようにします。
新しいバッテリーの端子にカバーが付いていたり、取り外し可能な取っ手が付いていたりする場合は、セットした後に外しておいてください。
⑤固定金具を付ける
新しいバッテリーが垂直に正しい向きにセットされていることを確認したら、再度ステーを取り付けてバッテリーを固定します。
ステーは強く締めすぎるとナットやバッテリーの破損につながるので気をつけましょう。
⑥プラス→マイナスの順で端子を取り付ける
新しいバッテリーにターミナルを取り付けますが、外す時と逆にまずプラス端子から取り付けそのあとマイナス端子を取り付けます。
ターミナルは端子の先ではなくしっかり奥まで押し込んでから固定してください。
車種によってはプラス端子の上に赤いカバーが付いているので、新しいバッテリーに被せるようにします。
自分でバッテリー交換をするリスク
バッテリーの交換を自分でする手順は決して複雑ではありませんが、バッテリーは電気にまつわる部品であるためりリスクもあります。
リスクもしっかり確認してから自分で交換するかどうか決めるようにしてください。
端子の接触によるショート
バッテリー交換で一番よくあるトラブルは端子の接触によるショートですが、交換中にショートしてしまう原因は2つあります。
- 工具などでマイナス端子とプラス端子に同時に触れてしまう
- マイナス端子を外す前にプラス端子を外してしまう
マイナス端子からターミナルを外そうとしている時に、知らず知らずのうちにスパナの先がプラス端子に触れてしまうと、それだけでショートを起こします。
また順番を間違えてマイナス端子を外す前にプラス端子を外すと工具が電気を帯びて、そのまま工具で他の金属部分に触れるとショートするので十分気を付けてください。
車の不調
バックアップを取らずにバッテリーを交換するとナビやラジオの設定が消えるだけでなく、思わぬ車の不調が起こる可能性があります。
最近の車には学習機能が搭載されていて、運転しているうちにエンジンの動き等を最適な状態に調整してくれます。
もしバッテリー交換時にバックアップを取らないと、この学習機能で蓄積されたデータも消えてしまうため、アイドリングが不安定になるなどの問題が出ることがあります。
またバックアップをしていないとナビが壊れたり、ギアをバックに入れてもバックモニターに切り替わらなかったりすることもあるので気を付けてください。
車両火災の危険性
バッテリーの交換をする際にバッテリーを固定するステーやフックを取り外し、固定し直す必要があります。
そしてこの固定がうまくできていないと車を走らせているうちにバッテリーが動き、プラス端子と車のボディーが触れてショートを起こすことがあります。
ショートを起こすとケーブルに大量の電流が流れて加熱され、そこから火災が発生することがあります。
実際にバッテリーのショートから車両火災につながった事例が少なからずあるので注意しましょう。
古いバッテリーの廃棄
バッテリーの中には硫酸が入っているため、交換後の古いバッテリーを自治体に回収してもらうことはできません。
新しいバッテリーを購入したお店で大抵の場合は無料で回収してもらえるため持って行くようにしてください。
通販で購入した場合も郵送での引取りに対応してもらえることがあるので確認しましょう。
交換したバッテリーが液漏れしていたら硫酸で火傷をする危険があったり、端子に電気が残っている場合ショートの危険があったりと、扱いに注意が必要な場合があります。
移動や郵送の際には十分気を付けてください。
自分でやるのが不安な方へ|バッテリー交換ができる業者
このように自分でバッテリーを交換するとバッテリーのショートや車両火災など重大なトラブルが発生する可能性があります。
またボンネットを自分で開けたことがなかったり、工具を使い慣れてなかったりする場合には難易度が高いでしょう。
古いバッテリーを廃棄する手間を考えても、バッテリーの交換は業者に依頼する方が安心です。
ディーラー
ディーラーにバッテリー交換を依頼すると純正品のバッテリーに交換してもらえます。
サービスや技術力がしっかりしている代わりに、工賃は他の業者に比べて割高になることが多いです。
ディーラーでバッテリー交換をする場合の工賃の相場1,000〜3,000円で、純正バッテリーの代金と工賃を合わせると20,000〜40,000円になります。
整備工場
整備工場でもバッテリー交換をしてもらえますが、バッテリーは整備工場の在庫にあるものを使うことが多いです。
工賃はディーラーと大体同じくらいですが、バッテリー購入で工賃が無料になったり割り引いてもらえることがあります。
整備工場でバッテリー交換する際の工賃の目安は無料〜3,000円程度です。
カー用品店
カー用品店はバッテリー交換の工賃が一番安い業者の一つです。
店舗で購入したバッテリーに付け替えてもらいますが、沢山ある商品の中から価格や性能を見比べながら自分が納得する商品を選べるのがメリットでしょう。
カー用品店でバッテリー交換した場合にかかる工賃は無料〜1,000円程度のことが多いです。
ガソリンスタンド
ガソリンスタンドでのバッテリー交換は給油のついでに寄れるという利点があり、店舗の数が多いので急にバッテリー交換が必要になった時にも助かります。
ただし、置いてあるバッテリーの種類は少なく割引はあまりありません。
ガソリンスタンドのバッテリー交換の工賃は店舗によりばらつきがあり、1,000〜3,000円程度です。
まとめ
車のバッテリーの交換は自分でする方も多く、実際手順も複雑ではありません。
ただ車のコンピューターに保存されているデータを守るために、交換の際にはバックアップ電源を利用するようにしましょう。
また、バックアップ手順を間違えたり上手くできていないと、ショートや車両火災などのリスクがあります。
バッテリー交換は業者に頼んでも工賃が安いうえに、店舗でそのまま古いバッテリーを回収してもらえるため、自分で交換するのに少しでも不安がある場合は業者に依頼することをおすすめします。