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2021年10月31日

エンジンオイルの選び方|最適な製品を選ぶ3つのポイントを解説

車のメンテナンスとして、定期的にエンジンオイルを交換する必要があります。

エンジンオイルは車の運転性能や燃費効率を守る大切な存在です。

しかし、エンジンオイルは種類が多く、選び方がわからない人もいるのではないでしょうか。最適なエンジンオイルを選ばないと、車の性能を低下させる恐れもあります。

この記事では、エンジンオイルの選び方について取り上げています。

エンジンオイルの役割や選ぶ際の基準、適切な交換時期も解説しているのでぜひ参考にしてみてください。

エンジンオイルの5つの役割

エンジンオイルには、潤滑、密封、冷却、洗浄、防錆の5つの作用があります。いずれもエンジンの性能を守り、故障を防ぐ重要な役割です。

潤滑作用

エンジンオイルには、エンジン内の部品をスムーズに動かすための潤滑作用があります。

エンジンは数多くの金属部品でできており、各部品が回転や往復などの運動を繰り返すことで車が走行しています。

この時、金属同士が触れ合って摩擦が発生しますが、エンジンオイルによる潤滑作用が得られないと摩擦による部品の損傷が進みます。

こうしたエンジントラブルや故障を防ぐため、潤滑作用があるのです。

密封作用

エンジンオイルは、内部の気密性を高める、密封作用もあります。

エンジンを動かすとき、シリンダー内ではピストンが往復してエネルギーを発生します。

この往復運動を妨げないよう、シリンダーにはわずかな隙間が用意されています。

しかし、ここから燃焼エネルギーが吹き抜けてしまうとエネルギー生成率が低下し車の燃費が悪くなるので、密封作用のあるエンジンオイルが重要になってきます。

冷却作用

エンジン内の温度を下げる冷却作用も、エンジンオイルの役割です。

エンジンオイルは走行時、エンジン内を循環し、ガソリンの燃焼や摩擦で発生する熱を吸収します。

吸収した熱を放出しエンジン内の温度が上昇を防止することで、温度上昇による部品の破損やオーバーヒート、エンジンの焼付を防いでいます。

洗浄作用

エンジン内を循環するエンジンオイルは、内部の汚れを吸収する洗浄作用もあります。

車を長く使うにつれてエンジンオイルが黒く、ドロドロの状態に変化するのはこうした汚れを含むためです。

エンジンに汚れが溜まると故障の原因になるので、エンジンオイルは定期的に状態を確認し、必要があれば交換しましょう。

防錆作用

エンジンオイルによる被膜には、エンジンを構成する金属部品を酸化させない防錆作用があります。

エンジンは稼働時と停止時に温度差があるため、内部に水滴が発生します。

水滴が付着すると金属部品は錆びやすくなりますが、オイルの膜があると錆を防ぐことができます。

エンジンオイルを選ぶ基準

エンジンオイルを選ぶ基準は、エンジンオイルの粘度と使われているベースオイルの2つになります。

また、規格に適合した製品であれば高い品質が期待できます。

車に合わないエンジンオイルを使うと、エンジンの性能や燃費効率が低下するので注意しましょう。

粘度

エンジンオイルの推奨粘度は車種によって決められています。また、同じ車種でも走る場所や気温、走り方によって最適なものが変わってきます。

粘度は「10W-30」といった数字とアルファベットで表記され、前半部分は低温時の粘度、後半部分は高温時の粘度です。

低温時の粘度は0Wから25Wまで、高温時の粘度は20~60まであり、どちらも数字が小さいほど低粘度となります。

ベースオイル

エンジンオイルを構成するベースオイルによって、性能に違いがあります。

高性能なベースオイルを使っているものほど値段も高価です。性能とコストを考え、車に合った製品を選びましょう。

化学合成油

ベースオイルの中で最も高性能なものが化学合成油です。

化学合成油はその名の通り、化学的に精製しているため不純物を含まない特徴があります。

精製にコストがかかるため高額になりますが、性能を重視するなら化学合成油を使ったものが良いでしょう。

部分合成油

部分合成油は、化学合成油と鉱物油の2つを混ぜて作られています。

化学合成油の性能と鉱物油の安価さを取り入れた、バランスの良い製品です。

性能もコストもどちらもバランスを取って選びたいなら、部分合成油となるでしょう。

鉱物油

性能は良いといえないものの、価格を安く抑えるなら鉱物油です。

原油から不純物を取り除いて精製され、広く普及しているベースオイルです。

性能に対するこだわりがなく、とにかく安く抑えたいなら鉱物油という選択になるでしょう。

規格

エンジンオイルには性能を示す基準となる、2種類の規格が存在します。

いずれも認定基準を満たしたものには所定のマークを付与されているので、選ぶ際の参考になるでしょう。

API規格

「API規格」は米国石油協会(API)が制定する規格です。2文字のアルファベットで表記され、SAからSPまでの13段階あります。

性能はアルファベットが後ろになるほど基準が厳しくなっており、高性能であることを示します。

2020年5月に施工されたSPが現在の最高基準です。

この認証基準を満たした製品は、APIのドーナツ状のシンボルマークが記載されています。

ILSAC規格

「ILSAC規格」は日米の自動車メーカー組織による規格です。現在GF-3からGF-6まであり、2020年5月に施行されたGF-6が最新基準です。

この規格も新しく施行される度に基準が厳しくなり、最新基準に認定されているものほど高性能といえます。

基準を満たした製品にはスターバーストマークが付与されています。

愛車にピッタリなエンジンオイルを選ぶポイント

エンジンオイルの違いをふまえて、愛用の車にピッタリなエンジンオイルを選びましょう。

ここからは、エンジンオイルを選ぶ際のポイントを解説します。

新車時の粘度を参考にして選ぶ

新車納品の際には、メーカー推奨の粘度を持ったエンジンオイルが入れられています。それと同じ粘度であれば、問題なく使用できるでしょう。

中古購入したため新車時の粘度がわからない場合は、車の取扱説明書でも推奨されるオイルは確認できます。

推奨されるエンジンオイルの粘度が分かれば、それに適した製品を選びましょう。

車の使用目的から粘度を選ぶ

車の使用目的によっても、おすすめのエンジンオイルは異なります。

長距離移動が多いなら、高粘度のエンジンオイルがおすすめです。運転時間が長くなると、エンジン内が高温になるため、低粘度のオイルでは油膜切れが起きやすくなるからです。

油膜切れになると、エンジンオイルによる保護効果が得られずエンジンにダメージを与えてしまいますが、高温時でも粘度が保たれるエンジンオイルならば、油膜切れが起こりにくくなります。

ただし、高粘度のオイルは抵抗も大きいので、燃費の面では劣るという点は注意しましょう。

また、近場への買い物や市街地のドライブが目的なら、低粘度のエンジンオイルが良いでしょう。

エンジンが高温になることが少なく、高温時の保護性はあまり重視されません。抵抗が少なく、燃費性に優れる低粘度オイルのほうが適しているといえます。

車の使用場所から粘度を選ぶ

エンジンオイルは、どのような環境で車を使用するかでも、おすすめの粘度が変わります。

オイルの粘度は稼働時の熱だけでなく、外気温でも変化します。

そのため寒冷地で走行するなら、低温時でも粘度の柔らかいものがおすすめです。寒い環境でもオイルが固くならず、エンジンを始動させやすくなります。

坂道や高速道路の走行が多いなら、高粘度のエンジンオイルが向いています。エンジンパワーを発揮させるには、高温時の密封作用や潤滑作用が重要です。

エンジンが高温になっても粘度が保たれるものを選びましょう。

エンジンオイルの種類が多い理由

エンジンオイルの種類が多いのは、車種や走り方、走る場所、季節の違いによって、最適なものが違うからです。

人によって使う車も違えば、走行目的や使用場所も異なります。さらにエンジンオイルは自動車用だけでなく、バイク用もあります。

それぞれの状況に合わせて最適なエンジンオイルを選べるよう、種類豊富に作られているのです。

エンジンオイルの交換時期

エンジンオイルは定期的に交換しましょう。空気に触れると酸化し、エンジンを動かすとガソリンが燃焼し、発生した煤(すす)が混ざって劣化します。

劣化したエンジンオイルは粘度が変化し、本来の性能が得られません。安全に走行するためにも、オイル交換は大切なメンテナンスです。

交換年数の目安に達した時

エンジンオイルは目安とされている期間が経過したら、交換したほうがよいでしょう。

交換の目安は、走行距離で考えるケースが一般的です。

しかし、エンジンを動かさなくても空気に触れたエンジンオイルは、少しずつ劣化が進みます。

また、短距離の運転が多いとエンジンに負担がかかりやすく、オイルの劣化を早めます。

ガソリン車やディーゼル車は1年、ガソリンターボ車や軽自動車は半年を目安に、エンジンオイルを交換しましょう。

オイルの量が不足した時

車の点検をした際に、オイルの量が規定量以下になっていたら速やかに交換しましょう。

エンジンオイルが不足した状態で走り続けると、燃費の低下車の故障を引き起こします。

すぐにオイル交換ができない場合は、エンジンオイルを継ぎ足しましょう。

ただし、これはあくまでも応急処置なので、なるべく早くオイルを交換する必要があります。

なお、点検時にエンジンオイルが急激に減っているようなら、オイル漏れを疑いましょう。

オイル漏れしていると、エンジンの故障引火の危険性があり、車検にも通りません。

大きな問題が発生する前に、ディーラーや整備工場で点検・修理しましょう。

まとめ

エンジンオイルの選び方は、粘度とベースオイルが基準になります。さらにAPI規格やILSAC規格に適合したものであれば、品質が保証されており安心です。

愛車にピッタリなエンジンオイルを選ぶには、まずメーカーが推奨するオイルを確認しましょう。

新車納品時には推奨オイルが入れられており、車の取扱説明書でも確認できます。

そのうえで、車の使用目的走行場所に適した粘度のエンジンオイルを選ぶと、車の性能を損なわずに走行できます。

また、エンジンオイルは定期的な交換が必要です。

定期的にオイルの状態を確認し、交換することで長く安全に車を使用できます。

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