仕事で使う車を所有している方は、車検費用をできれば経費で計上したいと考えているかもしれません。
車検費用は高額になることが多いので、経費にすれば節税につながります。
- ただ本当に業務用の車の車検費用を経費で落せるのかどうか
- 経費で落とせる場合注意すべきことはあるのか
- 経費で落とせる場合帳簿に記入する際の勘定科目はどうすればいいのか
など疑問に思う点も多いのではないでしょうか。
そこでここでは車検と経費それに鑑定科目の関係について詳しく解説していきます。
目次
車検費用は経費にできる?
まずは確定申告で車検費用を経費で計上できるのかどうかを見ていきましょう。
個人事業主やフリーランスそして自営業の方で事業用の車を所有している場合、その車の車検費用を経費にすることは可能です。
ただ個人事業主や自営業の方でも100%プライベートで使っている車の車検費用は経費にできないので注意してください。
とはいうものの中には車を仕事とプライベート両方で使っているという方もいるでしょう。
この場合は車検費用に対し事業で使った割合だけ経費で計上できます。例えば仕事とプライベート半々で使っている車の場合だと、車検費用の半額だけ経費で落すことになります。
車検費用を計上する際に、プライベート使用の分は別に項目を作り経費の合計から差し引くようにしてください。
会社員は車検代を経費にはできない
個人事業主や自営業の方と違い、会社員の方は基本的に車検代を経費にすることはできません。
会社員の方は仕事の場合は会社の車を使うのが一般的で、仕事用に自分で車を所有することはほとんどないので仕方ないでしょう。その代わり会社員の方だけに適用される給与控除制度等他の優遇措置があります。
まずは車検費用の内訳を理解する
車検費用は見積もりや請求書を詳しく見ると、費用がいくつもの項目に分かれています。車検費用の内訳を知ることは車検代を正しく経費で計上するうえでとても大切なので、ここで紹介しておきます。
まず大きく分けると車検費用はこの2つに分かれます。
- 法定費用
- 車両基本料と部品交換費用
さらに法定費用にはこの3つの費用が含まれます。
- 自賠責保険料
- 自動車重量税
- 印紙代
この3つの費用については法律で必ず支払うよう定められ金額も決まっているため、どこで車検を受けても必ず納める必要があります。
車両基本料や部品交換費用は車検のための整備・点検にかかる費用で、車検業者によって金額にかなり差が出る項目です。
車検の勘定科目は大きく分けて5種類
車検費用を経費にする時に『車検費用』という一つの項目で計上できると簡単なのですが、実際には先ほど紹介した車検の内訳ごとに分けて計上する必要があります。
車検に関する費用に関する勘定科目はこの5種類です。
車両費
車両費は業務用で使用している車の維持や運用にかかる費用を計上するための勘定科目です。
ガソリン代や高速道路のETC料金それに修理や部品交換にかかった費用、さらに強制と任意両方の保険料等や洗車代など、車に関するかなり幅広い費用がこの項目に該当します。
該当する費用が多いため『ガソリン代』や『修繕費』など補助科目を使うとより分かりやすくなります。
租税公課
租税とは国や地方に支払う税金のことで、公課は国や地方公共団体から徴収される交付金などの費用のことです。租税公課というのはこの2種類の経費を合わせて記入する時に使われる勘定科目になります。
税金を経費にできるものなのかと驚いた方もいるかもしれません。もちろん住民税や法人税は経費になりませんが、中には経費として計上できる税金もあります。
計上できるのは
- 印紙税
- 固定資産税
- 法人事業税
- 登録免許税
といった損益計算書で販売費や一般管理費にあたるものです。
保険料
保険料は文字通り保険会社に支払う保険料を記入する時に使う勘定科目です。
生命保険(邦人が従業員の為に掛ける場合)、火災保険、地震保険、損害保険等、掛け捨てタイプの保険であれば経費計上できることが多いです。
掛け捨てではなく貯蓄の意味合いが強かったり長期保証が得られるタイプの保険の場合は、会計上資産と見なされます。
個人事業主の方の生命保険についての扱いが要注意で、個人でかけている生命保険の場合は経費ではなく控除の対象になります。
またもし保険金を受け取った場合は保険金ではなく受取保険金という勘定科目に記入します。
支払手数料
勘定科目の支払手数料は銀行の振込手数料や弁護士・税理士といった専門家への謝礼金、さらに事務手数料や書類の発行にかかる手数料などが該当します。
手数料といっても売り上げには直接関係しない会社の管理に関する手数料だけがここに計上され、取引先に支払われる販売手数料は除外されます。
事業主貸
事業主貸は個人事業主の方の帳簿特有の勘定科目の一つで、個人事業主が事業のためのお金をプライベートで使った場合、この項目に金額を記載します。
当然ですが事業主貸に記載された金額は経費に計上するのではなく、最終的に経費の合計から差し引かれます。
生活費や国民保険料など完全にプライベートな費用はもちろん事業主貸に当たりますがそれだけではありません。
自宅兼事務所の賃貸料など事業とプライベート両方で使っているものの経費として計上する場合に、プライベートの範囲の費用を除外するために事業主貸の項目に記載することもあります。
車検費用の勘定科目の仕訳
(400字程度)
上の項で車検の費用に関する勘定科目を紹介しましたが、ここではさらにわかりやすく車検喉の費用がどの項目に該当するかこちらでご確認ください。
車両基本料 | 点検・整備費用 | 車両費か修繕費 |
部品交換費用 | ||
車検代行手数料 | 支払手数料 | |
法定費用 | 自賠責保険料 | 保険料 |
自動車重量税 | 租税公課 | |
印紙代 | ||
プライベートで使用した分 | 事業主貸 |
自動車重量税は車両費に仕訳してもいいのですが租税公課の方がよりわかりやすいでしょう。
勘定科目は自由に設定できる
ここまで車検費用にまつわる鑑定科目を紹介してきましたが、中には部品交換費用や自動車重量税など該当する項目が2つ以上ある費用もあります。
どちらに記入すべきか迷うかもしれませんが、自分がより分かりやすい方に仕訳して構いません。
なぜならどんな費用をどの勘定科目に記入するかどうかについては慣例で大体決まっているものの、絶対こうすべきというルールはないからです。極端に言うと勘定科目を自由に設定しても構いません。
ただ車検費用でいえば事業主貸のような経費から差し引くべき費用と、その他の経費として計上する費用はしっかり分けておくようにしてください。
車検費用を計上での注意点
車検費用を経費で計上する際にいくつか注意しておいた方がいい点があるのでここにまとまます。実際に確定申告する前にご確認ください。
事業用と家庭用で使用している場合
ここまで何度か触れていますが、事業とプライベート兼用で使っている車の車検費用の場合は、事業で使っている割合だけ経費にできます。
仕事8割プライベート2割の場合と仕事5割プライベート5割の場合では、車検費用が同額でも計上できる金額が変わります。
仮に仕事7割プライベート3割で使用の車で車検費用が68,000円だった場合は、経費として計上できるのは47,600円です。
個人事業主本人名義の車だけでなく家族名義の車でも、事業で使っているなら経費計上できることがあります。
青色申告の場合
確定申告で青色申告している方は、申告用紙に車両費の項目がないため戸惑うかもしれません。
ただこの場合は空いている欄に自分で車両費を追加すれば大丈夫です。
また車検の時に払う自賠責保険は2年分ですが、車検をした年の確定申告で2年分を経費計上していいことになっています。
課税の分類
車検の内訳を別々の勘定科目に仕訳した方がわかりやすいのは、費用によって消費税がかかるものとかからないものがあることも関係しています。
税込で帳簿をつける場合も消費税を別にして帳簿をつける場合も、課税の分類に気を付けてください。
費用の内訳の税制区分はこちらです。
- 車両基本料(車検代行料と部品交換費用含む) 課税仕入
- 自賠責保険料 非課税仕入
- 自動車重量税 不加税仕入
- 印紙代 不加税仕入
車検以外の車にかかる費用は経費計上できる?
事業使っている車は車検代以外にも経費で計上できる費用がいくつもあります。車関係で経費計上できる費用を把握することで節税に繋がります。
- ガソリン代
- 駐車場代
- 車にまつわる税金(自動車保険、自動車税、自動車所得税)
- オイル交換やタイヤ交換など車検以外での整備費
- 車の購入費用(新車でも中古車でも可。何年かに分けて計上する)
仕事とプライベート兼用の車の場合、ガソリン代や駐車場代もふくめて全て仕事で使った割合だけ経費にすることができます。
1年でかかったガソリン代のうちいくら仕事で使ったかを正式に算出するのは難しいので、走行距離か仕事で使った日数の割合から計算します。
まとめ
これまで見てきたとおり個人事業主や自営業の方が事業で使っている車の場合、確定申告で車検費用も経費で計上することができます。
申告する場合はどの勘定科目にどの費用を記入するかと各費用の課税の分類に気を付けてください。
ただ勘定科目には明確なルールはないので自分がわかりやすいように仕訳することもできます。
車検費用以外にも車関連で経費にできる費用はたくさんありますが、仕事とプライベート兼用の場合はあくまで仕事で使った分だけ計上するようにしてください。