ハンドル操作に違和感があったり、走行時の安定性が落ちたと感じたりしたら、車のフレームが傷ついている可能性があります。
フレームの異変は外見では気づきにくい部分ですが、走行時の安全性に関わるので、見過ごしてはいけません。
この記事では、車のフレームについて解説するとともに、異変を確認できるポイントや修理についてまとめています。
異変を知らせる症状を把握し、おかしいと感じたときの参考にしてください。
目次
車のフレームとは
車のフレームとは、車の骨格ともいえる、各パーツを取り付ける土台部分。
車両の安定性や走行性を左右するため、フレームに異常があると、操作や乗り心地に影響します。
ハンドル操作の違和感や、状態の悪い道を走った時の安定感がおかしいと思ったら、フレームの異変を疑うべきでしょう。
フレームの異常は、車検時にもチェックされ、不具合があると合格できません。違和感があるなら、検査・修復したうえで車検に臨みましょう。
車のフレームには2種類ある
車のフレームには、ラダーフレーム構造とモノコック構造の2つが存在します。それぞれに特性があり、車を選ぶ際にも確認しておきたい項目です。
なお、最近の車は車内の快適性と作りやすさから、モノコック構造が主流となっています。
ラダーフレーム構造
ラダーフレーム構造は、はしご(ラダー)に似たフレームへボディを載せ、車体を作る構造です。古くから採用されており、1960年頃までは乗用車の主流となっていました。
しっかりとした強度のあるフレームが走行を安定させ、外部からの衝撃にも強い耐久性があります。
そのため、横転や衝突時の故障リスクが軽減され、オフロードや冬季の悪路走行にも強いのが特徴。4輪駆動車やトラックなど、人や荷物を運ぶ大型車両に多く採用されています。
ただし、フレームの強度に比例して重量が重くなり、排気量も多いのがデメリット。
燃費が悪く、自動車税や自動車重量税を考えると、コストパフォーマンスが良くありません。
車内スペースも狭くなりがちで、衝撃吸収の面では劣るため、乗員に負担がかかる部分もあります。
モノコック構造
モノコック構造は、現在乗用車の主流となっている構造で、フレームとボディが一体化しています。
車体は1つの箱状になるため、組み立て部品を減らし軽量化・量産化しやすいのが特徴です。
衝突時は衝撃が分散され、乗員への影響を軽減し、乗り心地も良好。車内空間を広く取れるように作れるので、快適性の面でもメリットのあるフレームです。
その反面、強い衝撃には耐えきれず、事故発生時にはフレームが大きく歪むことも珍しくありません。
耐久性ではラダーフレームに劣り、衝突事故後は廃車になる可能性も高い車です。
また、見た目でわかるようなフレーム異常が起きていなくても、車体に分散された衝撃の影響で、歪みが発生することもあります。
フレームの異変を確認する方法
車のフレームは、見た目で異変を見つけにくく、確認が難しい部分です。しかし、安全性を考えると無視できないポイント。
早めに確認し、対処できるよう、フレームの異変を知らせる症状を解説します。
フレームの異変を知らせる症状
もし、運転時や車の点検時に次のような症状があれば、フレームの異変を疑いましょう。
- まっすぐ運転しているのに、少し曲がってしまう
- タイヤの摩耗量が、以前と比べて不均等になる
- 凹凸が激しい道を走行すると、不安定がひどく感じる
通常、車はハンドル操作しなければ、直進するように作られています。
しかし、フレームの歪みがあるとわずかに曲がるようになり、ハンドル操作で違和感を覚えるでしょう。事故リスクが高まり、走行を続けるには危険です。
また、フレームが歪むと車体全体のバランスが悪くなり、タイヤの摩耗量も不均一になります。不均等に摩耗したタイヤでは、走行時の安全性が得られません。
タイヤの状態をチェックして、減り方が不均等になっていれば、フレームの異変が疑われるでしょう。
さらに、フレームは車の乗り心地にも影響します。凹凸の激しい道を走行した際、以前より揺れ方がひどいようなら、フレームに異変が起きている可能性があります。
フレームの損傷は縁石にぶつけたり、衝突事故を起こしたりといった、明らかな原因があるケースだけではありません。
日々の衝撃が蓄積されて起こる歪み・凹みや、錆による腐食で亀裂が入る場合あります。
異変を知らせる症状を感じたら、早めに対処しましょう。
素人の判断は困難
フレームの異変は、素人の目には判断が難しい部分です。
ガラスの傷やドアの歪み、ボンネットをはじめとするボディの凹みなどは、見た目ですぐにわかります。
しかし、フレームは数々のパーツが取り付けられているため、異変があっても表面化しないことが多いのです。 点検業者に指摘されて、ようやく気づくことも珍しくありません。
フレームの異変を知らせる症状が感じられたなら、素人判断はせず、専門業者に点検してもらうようにしましょう。
フレームの修理方法
フレームの異変に気づいたら、早めに対処しましょう。無視して走行を続けると、事故リスクが高まります。 フレームの修理方法について解説します。
自分で修理するのは困難
フレームの歪みを自分で修理するのは非常に困難です。外観で判別出来ないことも多く、作業環境や専門知識を持たないと適切な修理ができません。
素人目には、修理箇所が見極められず、かえってフレームを歪める結果になる恐れもあります。
フレームの歪みを疑う症状がある場合は、自分で修理しようとせず、専門業者に相談しましょう。
フレーム修理はどこに頼めばいい?
車のフレーム修理は、板金加工ができる業者への依頼が一般的です。
車の骨格ともいえるフレームは、他の部品とは異なり、交換できません。板金加工によって金属素材のフレームを、本来の形に近づけるという修理方法になります。
ただし、この修理はあくまでも元の状態に似せる加工です。完全に元の状態に戻せるわけではないので、注意しましょう。
修理後の乗り心地や操作性に、違和感を覚えることもあります。
フレーム修理の費用と期間
フレーム修理にかかる費用と期間は、車の種類やフレーム損傷具合によって大きく変わります。
買い替えたほうがメリットあるケースも多く、修理前に見積もりを取り、費用と期間を確認しておきましょう。
フレームの修理費用
フレームの修理費用は、軽微な内容であれば10万円程度で済む場合もあります。
しかし、多くの場合は手のかかる作業となり、数十万円から100万円以上かかるケースもあるでしょう。
自動車保険の保険金で修理費用を賄えれば問題ありませんが、金額によっては買い替えた方が良いこともあります。
保険金の額を確認し、修理費用がいくらかかるのか見積もりを取ったうえで、修理を決めましょう。
フレームの修理期間
修理作業が複雑で大掛かりになるほど、修理にかかる期間は長期化します。
即日で直せることはなく、早くても数日かかるでしょう。損傷が大きければ、作業工程も増えるため、数週間から1か月程度かかるケースもあります。
修理期間が長期に渡るようなら、その間、代車が必要になることもあるでしょう。
フレーム修理の注意点
フレームの修理には、注意するべき事柄があります。注意点を考えたうえで、修理して乗り続けるか、買い換えるかを検討するようにしましょう。
プロでも完全には修理できないこともある
車の骨組みとなるフレームは、交換による修理が困難です。そのため、修理は元の形状に近づける作業となり、完全に元の状態へ戻ることはありません。
走行上の問題が解消され、安全性が確保されても、乗り心地が変わることもあります。高額な費用を支払って修理しても、不便を感じるようなら後悔することもあるでしょう。
フレーム修理をする場合は、完全に戻るとは限らないということを、覚えておいてください。
査定額が下がる
フレームに損傷のある車は、中古販売市場で大幅に値引きされています。また、フレームを修理しても修理歴が付くため、価値が下げられてしまいます。
そのため、中古買取時に査定額を大きく下げられてしまうのを避けられません。
中古車として売却するより、廃車買取業者に金属資源やパーツとして買い取ってもらうほうが良いこともあります。
車のフレームは安全性に関わる重要な部分!異変を感じたら適切な対処を
車のフレームは、様々なパーツを取り付ける骨格部分。異変が起きても、外観では気づきにくいところですが、走行性・安定性へ影響します。
フレームの異変を知らせる症状があった場合、専門業者に依頼し、点検・修理しましょう。
ただし、フレームの修理は費用も期間もかかります。せっかく直しても、元通りにならない可能性もあり、車には修理歴が付きます。
修理費用を確認したうえで、買い替え・修理の判断をしましょう。